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万引き家族のanankeigoのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.9
全編通して空気の底のような閉塞感が漂っていた。抜け出せない状況が通低音のようにながれていて、家族の状況を冒頭の万引きのシーンで説明され、食事のシーン、花火のシーンでひとつになっていき、ラストに向かいバラバラになっていく構成。ロングショットでスカイツリーが映るのはフロリダプロジェクトにおこるディズニーワールドのようだった。じめーっとした階調のトーンのシーンと逆光で明るいトーンのシーンを使い分けていたように思う。モンスターたちの怪演技とクローズショットを効果的に使ったカメラワークによってじわじわと刺さってくる。何が正しいのかを問いかけてきてその判断は観客に委ねられている。この作品内には多くの「本物ではないもの」が出てくる。メインプロット以外にもちょっとしたシーンにも織り込まれていて、それが本物以上に機能しているのではないかと思わせるところが本作の見どころだと思った。素晴らしいです。そしていつしかこの「家族」を好きになってしまっていてラストはその感情を現実が引き裂かれてしまう。安藤さくらのクローズショット(もっと長めのショットだったら良かったすいません)、りんの最後のショットが忘れられない。見終わった後にポスターなどのヴィジュアルを見ると本当の幸せだったシーン(お風呂とか食事とか背中のネギとか)が思い出されて、切なさに襲われてしまいます。偽物の中の幸せな瞬間の積み重ねを丁寧に描いた作品だったと思います。


追記:
デッドプール2との共通点は繋がりのないものたちの絆と子どもの置かれている状況かなと思いました。ただ結果が異なる両者で、現実に起きた目黒の5歳児とも重なり闇が広がる思い…