MinaMi

万引き家族のMinaMiのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.8
冒頭の淡々とした画面を観ながら、これがパルムドールでなければこんなに観客を呼べなかったのかなぁなどと考えていたが、徐々に是枝ワールドに引き込まれていつのまにか泣いている。
肩の力が抜けてんなぁ、という感想。えげつない事が連続で起きているのに、不安や嫌悪感を起こす事なく、呼吸するように日常を描いている。是枝作品の中でも、特に肩肘張らない空気感が漂う。
流石ドキュメンタリー出身の監督だけあり、現実のような雰囲気があるが、それは役者による功績も大きい。リリーも樹木もいつも通り最高で、子役の二人は素晴らしく、松岡も可愛い。でも、やはり安藤サクラの存在感が凄すぎる。本人が母になったばかりだったこと、共演シーンはないが義父と同じ現場だったこと、そうしたエッセンスもあいまって、いつも素晴らしい演技がさらに輝いていた気がする。
昭和がまだ続いているかのような、でも、本当にこんな家庭あるのかもな、と思わせるような不思議な絆で結ばれた家族。
一方で最近の虐待死のニュースを連想させる。
勿論、冷静に考えれば礼賛されて然るべき家族ではないけれど、紋切り型に裁くことは出来ないような、現代の日本を、そして家族のあり方を感じ、考えさせられる。複雑で静かで深い映画。
カンヌが見つけてくれて、ありがとう。

・脚本 7/10
・演技 9/10
・演出 8/10
・音楽 6/10
総合点 30/40
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