みっしぇる

万引き家族のみっしぇるのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
エンドロールと共に流れるテーマ曲がなんとも不安定でバランスの悪さを感じる。不安な気持ちになる。この感じが作品を象徴していた。

安藤さくらの涙を見せまいと頰をぬぐい続ける泣き方が印象的で、この人の虐待された幼い頃 泣く事も許されなかったのかもしれない事 素直に泣ける事は幸せな事
強くならなければ、生きてこれなかった人生を泣き方ひとつでも表現されていて
すごいと思った。
DVにあっていた、凛ちゃんに自分を重ねて同情じゃなく、傷を見せ合うシンクロする感じ

見えてない、音だけの花火をみんなで見上げて「キレイだね」ていわんばかりに
楽しそうに微笑む。それこそが、いつわりの家族を表しているのではないだろうか。
ごまかしの自分、行動に疑問を持たない様に生きてきた。仕方ないよねって言い聞かせて生きてきた様に

でも、学のない人生を送ってきた2人にとって、生きていく為に教えられる術は万引きでしかなかったのだろう。 寂しさを紛らわす為、寄り添っていたかったんだよね


駄菓子屋のおじさんに「妹にはやらせるなよ」と、言われた事で、自分の行いが悪なのか?と初めて疑問をもつ祥太
そして、自分の人生を自分で選んだ。ひとつ、強くなってステップを上がったのだ

真っ当に普通に生きてきた人たちには分からなくてもあの家族は 皆、優しい 立場の弱い、傷を舐め合うように生きてきた

それが絆の確かに家族だったんだと思う

芸達者な俳優陣の自然な会話がセリフとは思えない日常をかもし出していた。

実は是枝監督、あまり好きてはないのだけど、あまりのリアルに
今日もどこかで、こんな生活を送っている人がいる気がして せめて、学ぶ事を子供から、取り上げないでほしいと祈ります