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万引き家族のliftmanのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.7
本編を観る前、学園モノ邦画だったか、恋愛アニメーションだったかの予告があって、それはそれは当たり前のようにキラキラした世界だった。とても平和。
この映画はそんな世界とすぐに隣り合わせにあるけど、キラキラから転げ落ちてやがて行き着いた果てみたいな人たちの話。

30年近く前のバブル期にも似た雰囲気はあったが、あのときは無邪気になんの根拠もなく幸せになれるってムードがあった。
現在、望めば誰にでも参加できるようになったキラキラはよりチープで平和はウワベだけ。
たった1つの間違いや不運でそこからも出て行かざるを得ないってことをみんななんとなく知っているような気がします。

そんな国になってしまった今の時代に、この家族って言ってる人達の来し方行く末はとてもリアルで人ごとではなく、自分のこと振り返っても1つ間違えたら似た境遇になってしまいそう。

子役の演出に脚光が浴びることが多い監督だけど、大人がとても印象的でした。
いつも淡々とした空気感の作風の監督だと思ってますが、今回ばかりはちょっと怒りが見える。最後の安藤さくらが代弁しているように思えて仕方ないです。
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