安藤サクラが取調室で語るシーンは、演技なのかドキュメンタリーなのか疑う程、溢れ出た感情をありのまま収めている。
貧困や犯罪が背景にありながらも、今作で描かれるのは「家族とは何か」という是枝作品で幾度も撮り続けられてきたテーマ。
利益と歪な優しさで繋がる家族のあり方など、到底理解出来ないはずなのだけれど、樹木希林、安藤サクラ、松岡茉優という3人の女優のリアリティーをはらんだ演技によって、作品の世界へと見事に引きずり込まれた。
キャスト、脚本、カメラワーク全てがこれまでの作品を凌駕している。一つの到達点に達したのだなと思える作品。胸がえぐられる名作。