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万引き家族のrominiのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

なんかもう…心がぐしゃぐしゃになる映画でした。パッケージの幸せそうな写真を見ると、胸が締め付けられます。

警察に捕まってしまうまでのシーン。
つかの間の幸せな家族を切り取りつつも、それぞれの心情の変化や、この家族が抱える問題を丁寧に描写していると思います。
どのシーンも、ちょっとした仕草や言葉、カメラワーク…情報量が多くて目を離せない。

分かりやすい言葉や派手な演出を使わずに、目線や雰囲気で語らせようとしてくる…日本映画ならではの、この、観客の受け取り方に任せますって感じ……

この映画の中で取り上げられてるさまざまな問題についても、各々で考えようねって言われてるようなもんですよね。
現実にも児童虐待や、老人の関わる犯罪、色々とニュースで見聞きしますが…これらの社会問題をどう解決していけば良いんでしょうね…反芻しちゃって鬱々としてきます…

役者さんたちの演技も、みんなすごく良いです。
特に話題にもなってる安藤サクラの泣くシーン。私にも「なんなんだろうね」の気持ちが入り込んできて、思わず泣いてしまいました。苦しい。

万引き家族は犯罪を重ねた上で成り立っているし、各々の問題をそのままに、むしろ逃げてきた人たちが寄り添い合っているイメージ。その存在を全肯定することはとてもじゃないけど難しい。
それでも、この家族の「絆」は本物でした。

祥太くんがわざと捕まったのは、大事な妹のゆりちゃんに万引きをさせないため。ゆりちゃんを守るため。(元の家族の元へ行って幸せか?という問題もありますが)
祥太くんがそうやって人を愛せるのは、たとえ仮初め家族でもその愛は本物だったからだと思います。

別れた後のバスの中での祥太くんの口パク、「父さん」って言ったんじゃないかな…ってわたしは思いたいです。
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