ゆず

万引き家族のゆずのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
バスを待つ2人

犯罪でしかつながれなかった家族。
死亡通知を出さずに、親の年金を不正にもらい続けた家族が逮捕された事件に触れ、その裏に他人には理解しがたい、彼らなりにも切実な家族の繋がりがあったのではないか?と考えた。家族で万引きを続け、盗品を換金していた事件もヒントにした。
ある目的のために集まったものたちは家族と言えるのか?子を生んでないけど、父に母になろうとする人たちを主人公にしてみようと思った。

怒りの感情で作られた作品は強い作品になる。今回は違和感が軸にあった。
自己責任で片付ける世の中はどうなのか。
自分の小さな宝物のようなつもりで作ると考えていた。

声に出して呼んで→波

子が成長して親を超えていく可能性と希望は残した。壊れることで成長する子どももいるというのが最後の30分。親離れと子離れ。
釣り竿だけ換金せず、家の中に置いてあったという記事を見て、きっとその盗んだ釣り竿で親子は釣りを楽しんだのだろうとイメージが浮かんだ。

花火のシーンに象徴される、見えない・聞こえないものを観客がどう捉えるかがモチーフ。
死と生が共存するベッドシーン
夜、空き地で駆け回るシーンは寓話性をもたしたかった。海底に2匹の魚が泳いでいるように。青いトタンが海に見える。

3.11以降、「絆」という言葉が使われたが範囲が家族に閉じられていた。めったに口にしない陳腐なセリフだから、意図的にこのフレーズを選んだ。
社会から普通を押し付けられ、そこから排除された人々を描く。
人々が国益や国家に回収されていく中で、それに対峙し、その問題を相対化する多様な小さな物語を発信し続けることが映画監督にできること。それが日本の文化を豊かにする。
小学校3年生の少女は、親の虐待をうけて養護施設に暮らしている。その子に何を勉強してるか聞くと、国語の教科書を開いてスイミーを読んでくれた。みんな忙しいからと止められながらも読み終わり、スタッフで拍手をしたら嬉しそうに笑った。その笑顔を見て、本当は親に聞かせたいんだろうなと思った。その子のあの笑顔にむけて、この作品を作ってるなと思った。

信代は、リリーとのバランス的に40歳ほどの女優を想定していた。街で出産前の安藤さくらにばったり会い、次の日くらいにオファーした。彼女は一番いいタイミングであの役に出会ったと自負している。ケイト・ブランシェットが絶賛した尋問をうけた信代が涙を流すシーンは、何をきかれるのか全く知らなかった。
守るものができ、神々しさすら感じる。
彼女はこの共同体に希望を見出している。
「捨てた人は他にいるんじゃないですか」 

最後まで全く成長しない父。気持ちを出せる場所が家族が居る場所しかない。
リリーは、日サロで焼いた。
みんな笑顔のポスターで、あのタイトルが入ってるとソフトバンクの家族割引みたい。

おばあちゃんは、血のつながりを簡単に捨てられないと思っている。

安藤と松岡が、激しく喧嘩して殴り合うシーンはカットされた。

ありがとう とうちゃん
不思議とポスターを見てると、誰かが欠けているような気になる
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