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ガンジスに還るのaaaakikoのレビュー・感想・評価

ガンジスに還る(2016年製作の映画)
4.0
インドの死にゆく人を描いているんだろうなと思っていましたが、予想に反して「死ねない」人の話でした。
死ねない中で、息子や家族との関係が見直され、同時に家族も父親を思う時間が増えていきます。

わたし個人的には宗教とは心の持ちようであり、そのひとつが死に方であると思います。死に方というか、こういった死への向かい方です。なかなか現実ではこううまくいかないと思いますが、理想的です。

死期を悟った父親がバラナシで最期を迎えたがり、息子がそれについていくと言ったとき、息子の上司が「どこにいたってガンガーは見られる。仕事はどうするんだ」と言ったのでちょっとびっくりしました。インドならこういう場合、そうですかおつとめ行ってらっしゃい、みたいにみんな言うのかと思いました。
それももう古いインドのイメージなんでしょう。

「解脱の家」で人が死んだとき、スタッフがまず領収書を取りに来たのも笑いました。
そういう、建前としたたかさが共存しているのもインドっぽくて、好きだなあと思います。

ラストシーンは、なぜか涙が止まらず困りました。
好きな映画でした。
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