ピッコロ

ガンジスに還るのピッコロのレビュー・感想・評価

ガンジスに還る(2016年製作の映画)
3.8
また会う日まで

人には、それぞれの砂時計があって、1秒、1秒、ゆっくりと落ちていく。
その砂が全て落ちる時、その人の人生が初めて完成する。
今は、まだ全然想像がつかないけど、死期が近づいているのが自分でも分かるらしい。生まれた場所は、選ぶことは出来ないけど、死ぬ場所は選ぶことが出来る。真っ白い壁に囲まれて、その日を待つよりかは、自分の好きな場所で好きなように待つ方が自分は良いと思う。

「解脱の家」という安らかな死を求める人々が暮らす施設。
そこで、父と息子の葛藤を描いていく。印象的なのは、息子の心情の変化。
最初は、父親の考えが分からず、反発ばっかりするけど、そこで"去り行く命"を目の当たりにして、心が揺れ動いていく。
"今まで、酷い扱いでごめんね。"
自分自身に、重ねてしまい涙がこぼれ落ちそうになった。

生きていく人、死にゆく人、それぞれにそれぞれの時間がある。
残りの砂はそれぞれ違うけど、この世界にいる間は、自由にしていたい。

もしも、その時が来たら自分は笑顔でお別れがしたいかな。
元気に笑って"またね"って。
自分のことで誰かが泣くなんて、とてもじゃないけど耐え切れないから。
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