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黙秘のSSDDのレビュー・感想・評価

黙秘(1995年製作の映画)
4.2
■概要
小さな島の富豪の女性を女中が殺害しようとしているのを郵便局員が見咎め、止めるが既に女性は事切れた。
新聞記者の女性は職場にFAXで女中はお前の母親だろうと記事を送りつけられ、捨てた故郷に帰郷する。
刑事は必要に女中を殺人犯と糾弾しているのだった…母は黙秘を決め込んでなにも話そうとはしなかった、皆既日食に起きた過去の事故も含めて…。

■感想(ネタバレなし)
ミザリーでの怪演が素晴らしかったキャシーベイツ、原作スティーブンキングの組み合わせ。

口汚く、悪態がよすがと言う女性達が主役の本作は常に物悲しい物語だった。

島の美しさとは裏腹に田舎町特有の閉塞感と、女性達の悲哀に満ちた前半。

黙秘していた理由が少しずつ明らかになっていき、思い出す母の幻覚のように色あざかに描かれる中盤。

後半は今までのゆっくりの進行を捲し立てるような後半。

この流れの変化が後半で一気に惹きつけられ、駆け上がっていくかのような終わり方に痺れた。

やっぱりスティーブン・キングってSFホラーよりサスペンススリラーとかの方が上手なんじゃないか…。













■感想(ネタバレあり)
ドロレス、セリーナ、ヴェラどの女性も皮肉屋で勝ち気。表面的にはお互いを憎しみ合い、ドロレスがヴェラを殺害したように見えるし、娘には優しかったアル中の父親を殺害したように見えるのだが…。

実のところは全ては愛ゆえの話で、どの死にも悪意がない。

ヴェラは口汚く罵っていてもドロレスを信用し、必要としていたため、自分の夫を事故死させたことを吐露し、ドロレスにも持ちかける。

ドロレスは娘を守るために父親を事故死を誘発させた。そしてその後押しをしてくれたヴェラを看取るという情の深さで互いに不器用な愛を持っていた。

最期までヴェラは遺産を残していると言わずに死を迎えるあたりが、本当にタチの悪さを際立たせている。

そして静かに進んでいたストーリーが皆既日食の日の鮮やかな映像と美しい現象の中、躍動感のあるチェイスと殺人のシーンは鮮烈だった。

皆既日食で赤くなった空を背景に井戸を見つめるドロレスのシーンはまさに殺意と結果のシーンにふさわしかった。

こんなに不器用な人達ばかりの映画も珍しい。素晴らしい作品でした。
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