【移民の苦悩】
李良枝の『由煕』で描かれる、移民のアイデンティティにまつわる苦悩は、海外で結構映画になっていることに気づく。
本作は、フランスに勉強しに来たイランの若者がフランスに馴染めず帰郷することとなり、仲間が慰めの旅に連れて行くというロードムービー。
映画として、ダラダラ退廃的で退屈であったのだが、イラン人が語る「イラン人は友だちを作れない」という言葉が重く私にのしかかった。
思えば、私が小学生の頃、毎年留学生が短期的に転校してきたのだが、オーストラリア人はちやほや直様人気者になっていたのに、韓国、中国、フィリピン人はイジメられていた。親や先生の露骨な蔑視の眼により子どもに伝播したようなイジメられっぷりだった。
イラン人のフランスに馴染めない苦痛のリアリズムを追い求め過ぎるあまり、映画としての面白さは失われてしまったが、大事な作品だ。