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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのsyoのレビュー・感想・評価

5.0
60年代ハリウッドへの懐古、そして監督の怒りが篭った映画。この作品は3年くらい前にクラスの映画好きの友人から何気なく勧められた作品で、ここからタランティーノ監督の虜になった。

確かにラスト13分までこれといった展開がないからつまらないと言われる意見も分かるけど、古き良きアメリカが好きって人は劇中に映る建物や車から当時の雰囲気を感じられて結構楽しめると思う。それもそのはずで、ハリウッド大通りを2日間車両通行止めにして、この通りの2ブロックとその周辺をまるごと、50年前にタイムスリップさせるという力の入れよう。CGの合成を徹底的に嫌うタランティーノらしい撮影。

そして凄惨な事件へのアンチテーゼのようなラスト。勿論何も知らずともは楽しめるが、事情を知るとよりその意味が理解できる。そりゃ犬も顔面食い破りたくなるよ。

登場人物もほんとに魅力的。
確かな演技力はあるが、次世代の俳優たちに居場所を奪われるリック・ダルトン。怒りのレオ様は恒例だが、泣き顔はなかなか珍しい。マジですぐ泣く。
その良き理解者であり、"友人以上恋人未満"のクリフ・ブース。ヘラヘラしながらブン殴るところとかイングロリアス・バスターを彷彿とさせる。
そして当時アイドル的人気だった女優シャロンテート。マーゴット・ロビー可愛すぎる。登場時間は2人より少ないけれど、存在感は2人以上かも。

ラストシーン、ポランスキー邸に入っていくリック、彼と抱擁するシャロンテートを映して終了。先ほどまでのグロ全開シーンが嘘かのように和やかだけれど、これは「ワンスアポンアタイム」、つまりおとぎ話なんだなと改めて感じさせられてとても切なくなる。せめて彼女が天国でこの作品を観てくれているといいな。
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