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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの4747のレビュー・感想・評価

3.8
1969年。かつてほど映画が影響力をなくし、その流れとともに衰えを感じるリック・ダントン(レオナルド・ディカプリオ)は
落ち目の俳優。かつてはモノクロの西部劇「Bounty Low(賞金稼ぎの掟)」で一躍スターになるが、今では主役俳優の引き立て役ばかりで、酒に溺れる毎日。
リックのスタントマンで親友のクリス・ブース(ブラッド・ピット)は、最高の相棒。鍛え抜かれた体と落ち着いていながらも、過去に影があるさまは男の憧れ。
ある時、リックの家の隣に新人大物監督と女優シャロンテートが引っ越してくる。ハリウッドにベトナム戦争、ヒッピー、1969年のハリウッドにとって最も凄惨な出来事が起ころうとしている…。

鬼才クエンティン・タランティーノ監督の最新作。「ハリウッドのおとぎ話」と題された本作は、シャロンテート殺人事件を軸とし、ストーリーが進んでいく。
史実を元にした本作において、偽物なのはリックとクリスのみ。彼らはまさにおとぎ話の住人なのだ。
落ち目だった俳優が、老いを認め、次のステップへと成長する。
いつまでも自分を見失わず、常に自信を失わないマッチョなイケメン。
才能溢れる若き隣人に憧れ、最後にはその門をくぐる。彼らにとって、まだまだおとぎ話は続きそうだ。
そしてこれこそがタランティーノ監督が夢見た世界なのかもしれない。

作り込まれた舞台と世界観に浸りながら、渋い男たちを見る。
決して万人受けする映画だとは思えないが、Theタランティーノ作品であった。

シャロンテート殺人事件やマンソンファミリー、マカロニウエスタンなど、前提とする知識が多く、知らなければハテナで進んでしまう場面が多いため、これから見る人にはある程度の予習をお勧めしたい。
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