当時のL.A.、ハリウッドのムード、シャロン・テート事件をしっかり予習して臨みました。これらを知らずに観るのは勿体ないです。知っていた方が数百倍この映画の世界にのめり込めます。
エンドロールが始まった途端、席を立たれた方はきっとそれらを知らなかったのでしょう。僕は席から立てなかった。ケツの痛みと尿意をはるかに超え、この映画に感動させられました。
レオ様の悲哀に満ちた演技に泣き笑い、シワは増えてもまだまだ衰え知らずのムキムキマン・ブラピは『ファイト・クラブ』以来のカッコよさでは?リックを支える女房役がとっても良かった。そしてマーゴット・ロビー演じるシャロン・テートの愛らしいこと!映画館で少女のように喜ぶ愛おしい表情。このシーンが泣けて泣けて仕方がなかったです。
本当にグッとくる良いシーンばかりで、終始浮遊するような美しいハリウッドの景色と共にリラックスして楽しめました。
でも事件を知っていると…序盤から不穏な雰囲気が忍ばされています。その緊張感はクリフが『牧場』に訪れるシーンでピークに達します。お得意の"何も起きていないのになんか怖い感じ"はこの映画ではここに集約されています。ここは本当に怖い。
そこからはカウントダウンのごとく物語は『あの日』へと収束していきます。
ネタバレしたくないので核心部分には触れませんが、観るまではイラッとしていた『ラスト13分の衝撃と感動』の宣伝ですが、正直これはしょうがないです。こう表現するしかないです。僕は「ウワーッ!」と立ち上がり叫ぶのを抑えるだけで精一杯でした。
タランティーノの映画愛、現実で起きた悲劇に対する監督なりのケリのつけ方。シャロン・テートを単なる可哀想な被害者として描くのではなく、その時確かに存在していた彼女を愛おしむように、生き生きと蘇らせています。
まだ整理がつかず長々と書きましたが、いま、この熱情を言葉にしなくてはと思いレビューしました。これからこの映画を観る方は『シャロン・テート』とググるだけでいいので、是非よろしくお願いします。