新品畳

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの新品畳のレビュー・感想・評価

3.2
顔はいいけど足の裏が汚い女が出てくるだけの映画かと思ったら、クライマックスの展開が酷くて笑った。

個人的には「セレブに対する共感」について考えてしまった。
映画のストーリーや設定の慣習で「巨悪=体制側・金持ち」みたいなイメージを持ってる人は多いと思う。

アメリカンニューシネマなんかはそれこそ反体制的な視点によるナラティブが基本になってるわけで、そういった先入観を持ったままラストシーンに臨むとなんとも言えない、拭えきれない違和を感じてしまう。
もしこの映画が1970年代制作の映画であれば間違いなくヒッピーがブラピを殺す展開になっただろう。しかし、そうはならない。

映画内のブラピが演じる主人公クリフは金持ちではないにしろ、明らかに立ち位置的にはセレブ側にある。そんな彼の容姿の端麗さ・暴力性に惹かれてしまうことに細やかな背徳を感じずにはいられないのだ。

上記の様な構図がアメリカンニューシネマに対するカウンター映画としても見られる様な気がして面白かった。(実際映画内ではヒッピーをボコボコにするし。)
善悪のコインが裏になってまた表になった様な。

そんな倫理観が揺蕩う感覚が不気味でもあるが、タランティーノ作品特有のノリもあって終幕の頃には泣き笑いのような感情になってしまった。
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