KATO

エンジェル、見えない恋人のKATOのネタバレレビュー・内容・結末

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

なんて贅沢な映画。贅沢な時間の使い方を、この映画のおかげで知ることが出来た。
前情報をほとんど入れずに見たのは正解だった。予告も見てなかった。ポスターは海外版のものも見ていたので、少しアダルティーな展開があることは予想済みでしたが。

とにかく美しい。エンジェルの視点から見る世界は、美しくて、彼が優しい人なのだということが分かる。マドレーヌはいつも輝いていて、彼の心の支え。
彼女は世界を見れないかわりに、すべてのことを感じることができる。だから、エンジェルとも出会えたのだ。
二人で作り上げた世界は、互いにかけがえのないもので……だからこそ、マドレーヌがエンジェルと会いたいと渇望していたことが分かる。目が見えていないときに分かりあえていたのだから、姿を確認したらもっと関係を深めることができると思っていたのではないか。
だから、エンジェルの姿が見えないと知ったときショックを受けたのだろう。でも、好きな気持ちは変わらないし、マドレーヌはショックを受けた自分にもショックを受けたし、落ち込んだはず。彼が色を持たなくても好きだと言ったのに、と。
二人で穏やかに重ねていく生活は美しく、柔らかな光に包まれている。工夫次第で、いくらでもうまく生活できるわとマドレーヌは言っていた。でも、それは姿が見えなくても同じこと。私たちはどれだけ言葉を交わしてもすべて分かり合えることなんてありえないし、どう頑張っても別な生き物なんだから。姿が見えても見えなくても、うまく暮らしていくには互いの工夫と思いあう気持ちが大切なのだ。

とにかく、映像が美しい。どんな風に撮影されたのかというラブシーン。官能的で、それなのに下品にはならない。いくらでも下品になる要素はあるのに、あんなに美しいなんて。観ているだけでドキドキが止まらなかった。俳優さんの身体が美しく、まるで芸術品のよう。彼女の存在がまさに芸術だった。髪の毛一本一本が、もはや美しい……。
そして、衣装がとても素敵。幼少期から青年期、どの衣装も可愛らしく、色使いもいい。なんであんなに素敵な世界が作りだせるんだろう、と何度もため息が漏れた。
大切な人と見たい映画の一つとなった。
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