このレビューはネタバレを含みます
「三島由紀夫 文学と映画」特集より「不道徳教育講座」(1959年)を鑑賞。
ちなみにこの日は、三島の命日。
刑務所を出たてのヤクザがかつて裏切った仲間に追われたため、寝台列車で寝ていた瓜二つの男を襲い入れ替わりの身となる。
だがその男は国の道徳教育を先導するエリート官僚だった。
ヤクザと官僚の二役を大坂志郎が好演。
堅物とは程遠いヤクザが、視察した市の道徳の査定をする様が不思議なおかしみを誘う。
不正をした校長や童貞のクセにプレイボーイぶる長門裕之、性に奔放ぶる二女や道徳教育に反対する活動家なども登場。
冒頭とラストにストーリーテラーとして三島由紀夫が本人役で出演。
「檻に入った方がラクだしな。その方が長生きできるし」
と言い放って終わるのだが、後に自死を選んだ三島だけにやけに説得力のある言葉だなと思った。