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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のRのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

※例の如く結末に長々と触れてます。

映画館で。

2023年のアメリカの作品。

監督は「ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結」のジェームズ・ガン。

あらすじ

アベンジャーズとして世界の危機を救ったガーディアンズ。しかし、サノスとの戦いで最愛の恋人ガモーラ(ゾーイ・サルダナ「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」)を失ったショックから立ち直れない「スター・ロード」ことピーター・クイル(クリス・プラット「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」)。そんな中、銀河を完璧な世界に作り上げようとする最凶の敵ハイ・エヴォリューショナリー(チュクウディ・イウジ「ダニエル」)が現れ、全銀河の運命とチームの存続を懸けた、最強の落ちこぼれチームVS最強の完璧主義者のラストバトルが始まる!!

ようやく…ようやく待ちに待った本作!!このために、このGWを使って過去作ならびに「ホリデー・スペシャル」、短編アニメシリーズの「アイ・アム・グルート」まで再履修して、気合い十分に鑑賞。

いや、しかしこういう大型連休じゃないと筆が遅い俺にとってはなかなかチャレンジできない鑑賞だったのでマジでこの休み中の公開はありがたかった…。

で、その結果…過去作の点と点が繋がる、まさにガーディアンズの集大成的な作品となっており、胸がいっぱいになりました✨

で、早速本編。今回の「主役」であるロケットの誕生から始まり、現在に至るシーンに入るわけなんだけど、本作のキモといえばまず言いたいのは音楽使い!!

2(リミックスとは呼ばない!)のラスト、亡きヨンドゥによって、愛用のカセットが無くなったクイルに渡された音楽プレーヤー「Zune」によって、往年のポップチューンしばりがなくなった今、お母さんの思い出の曲以降の音楽も使うことができるようになったわけなんだけど、そのトップバッターを務めるのがまさかのレディオ・ヘッド!!そして、その代表的名曲の「Cleep」とは恐れ入った!!

タイトルの「Cleep」とは「変人」とか「気味の悪い人」という意味であり、「俺はCleep」と歌うこの曲によって、ロケットのそれ以降描かれる悲劇的な出自と重なる部分もあり、それでいてエモーショナルも感じさせる。

これ以降も研究施設兼惑星の「オルゴ・スコープ」に降り立った際に流れる曲やガモーラが不慣れな宇宙船を暴走させる時に流れる時に一瞬だけ流れるザ・モーグリスの「San Francisco」などなど、全部は知らなくても、だからこそ観終わった後に掘り下げてまた楽しめる楽曲群が満載。

そして、エンドロール後には…それについてはもちろん後述。

で、お話はあらすじの通り、「インフィニティ・ウォー」以降のお話で、スピンオフのテレビスペシャル「ホリデー・スペシャル」の後の話でもあるんだけど、どうやらホリスペでマンティス(ポム・クレメンティーフ「サンダーフォース〜正義のスーパーヒロインズ〜」)とドラックス(デイヴ・バウディスタ「ノック 終末の訪問者」)によるステキなプレゼント大作戦でも元気は十分に取り戻せなかったようで、意気消沈なばかりか、酒浸りになっているクイル。もはや、その姿は荒みきっており、在りし日の「スター・ロード」の姿は見る影もない。

で、みんなが心配している中、襲来するのが、前作でガーディアンズに酷い目に遭い、復讐を誓うソヴリン人の女王アイーシャ(エリザベス・デビッキ「ピーター・ラビット2 バーナバスの誘惑」)が作り出した人造人間、ウィル・ポールター(「ミッドサマー」)演じるアダム・ウォーロック!!

母親と同じく全身金ピカでヒーロースーツに身を包んだその姿は最高に大味レトロな感じも見受けられるんだけど、その能力は絶大、狙われたロケット以外も「ガーディアンズ」の中では武闘派なネビュラ(カレン・ギラン「デュエル」)やドラックスまでもコテンパンにされ、ベイビー・グルートから成長したマッシブ・グルートもめちゃくちゃにやられた挙句になんか「遊星からの物体X」かロバート・ロドリゲスの「パラサイト」に出てきそうな頭だけのクモみたいになっちゃうw

ただ、そんな破壊力を持ちながらも、培養機械から無理矢理生み出されたことで、見た目はマッシブなヒーローながら、その性格は子どもっぽく、未熟なのも歪で良い。

つか、ウィル・ポールター、「ナルニア」の時はあんなにちっちゃくてへちゃむくれ顔が特徴的なジャリボーイだったのに、いつのまにかこんなに大きくなったばかりか、金ピカヒーローになっちゃうなんて…。つくづく時の経過は恐ろしい笑。

で、そんなウォーロックの襲来もなんとかガーディアンズの力を結集し、撤退に成功するんだけど、その襲来の被害の影響でロケットが瀕死の重体に…。そのための治療や手術を試みようとするも、改造されたロケットの体内にはその構造の情報を得るための流出を防ぐために何者かによって「キル・スイッチ」が仕掛けられており、治療ができないことが発覚、残された48時間以内に「キル・スイッチ」を取り除かなければ、ロケットは死んでしまうということでお話が動き出す。

で、目下、ロケットの出自に関係する「オルゴ・スコープ」という研究施設がある惑星に赴くことになるんだけど、そこで助っ人として登場するのが、ガモーラ!!

と言っても、もちろん皆さんご存知の通り、2までのガモーラは亡くなっており、今作で再会を果たすのは「ガーディアンズと出会う前の」別の時間軸のガモーラ。どうやら、「エンド・ゲーム」以降はガーディアンズと決別し、ラベジャーズ本隊に加入したらしく(ここで、まさかのスタカー役のシルヴェスター・スタローン(「サマリタン」)御大の登場!!)、ガーディアンズとの合流後もとにかく冷たく、よそよそしい。

で、まずこの「オルゴ・スコープ」の惑星のルックがものすごい。なんというか人体をそのまんま惑星にしたような感じで表面は人間の皮膚科のように所々に産毛が生えていたり、その内部は未来型の研究施設なんだけど、ドアや床や壁に至るまで全て人体の皮膚や内臓を彷彿とさせて、絶妙に気持ち悪さもあり、発想の新しさもあり、とにかくセンス・オブ・ワンダー。

また、そのパートのシーンもいちいち楽しくて、ガーディアンズが赤や緑や青や黄色の色とりどりのカラフル宇宙服に身を包み、宇宙遊泳から不時着するシーンだったり、そこでの久々の再会のクイルとガモーラの会話が全部他のメンバーに筒抜けだったことのオフビートな会話劇がいちいち笑える!!

ここでのネビュラの「ダチを助けに行きたいんだけど!!」の絶叫がまた格別に急を要する状況をあらわにした面白ツッコミで、いや、はじめはヴィラン側だったのにいつのまにかこんなツンデレ通り越して、仲間思いのいいやつになったんだ笑。いいよねー👍

あと、ここで最高に笑ったのが、内部に侵入して、オルゴ・スコープ側の兵隊の一団と鉢合わせするシーン。ドラックスがいつものバカさ全開のべしゃりで場を乱す中、クイルが必死に誤魔化そうとするのに対して、兵隊団のリーダーも「わかるよ、うちにも、その・ね(チラチラ)」と兵隊側にも「バイブスが合わねえ奴」がいるアピールをしていて、ここがなんか現実社会での上司と部下の微妙な間柄を現している絶妙なオフビート加減で、ガンの持ち味爆発!!

で、それ以降もなんだかんだ「チーム」としての見事な連携&「1」を彷彿とさせるロケット仕込みの敵を浮かせて足止めする隙に脱出シークエンスの痛快さもそれぞれの持ち味を活かしつつ、テンポ良く描いていく。ここまでの流れも一切ダレさせることなく描き切るあたり、流石の一言。

で、それと同時並行でロケットの過去も、生死の境を彷徨う彼の回想という形で描かれるんだけど、まぁ、とにかく悲惨。

実験動物として生み出された後、脳手術によって、今の知能を得たみたいなんだけど、違法なロボトミー手術みたいのされて弱り切っているのに、その後、きったねぇ牢獄に監禁させられて、人権なんてかけらもない酷い扱い。

で、そんなことをして、ロケットを生み出した張本人が今作のヴィランである、ハイ・エヴォリューショナリー。演じるチュクウディ・イウジという俳優さん、全然知らなかったんだけど、どうやらまだ未見のガンが監督した「ザ・スーサイド・スクワッド」のスピンオフドラマ「ピースメーカー」でも一緒に仕事した俳優さんらしい。

またルックが強烈で、未来人っぽい格好と何より特徴的なのはその顔、顔そのものは元の俳優さんそのまんまで特殊メイクとかじゃないんだけど、輪郭にあたる部分がメカメカしく、とにかく顔が「張り付いた」ように浮き出てる感じが絶妙にキモい。で、重力を操れる強敵ではあるものの、どちらかというとマッド・サイエンティストなキャラクターでそれまでのロナンやエゴとも異なる「サイコ」な感じもありつつ、常にそのギョロ目をキョロキョロさせながら、部下を怒鳴り散らかすその姿はどこか「小物臭い」。

で、そんなエヴォリューショナリーによって、繰り返しの実験で酷い目に遭うロケットなんだけど、一方、囚われた牢獄では同じ実験動物である、カワウソの「ライラ」、セイウチの「ティーフス」、ウサギの「フロア」とは身を寄せ合いながら、慎ましくも微笑ましく仲を深めていた。

このシーン実にロケットが無邪気に楽しむ様が環境は劣悪ながらも幸せいっぱいな感じではあるんだけど、他の三匹は手や足が義手やタイヤに改造されていたり、フロアに関しては「トイストーリー」のベビーフェイスみたいな痛々しいルックだったり、自分でつけた名前を語るシーンで希望に溢れていればいるほど、後の顛末を思うと不穏さは隠しきれない。

で、ここで実験動物だった「P13」は、いつかこの4匹で空を飛ぶために、自らを「ロケット」と名乗ると…いや、悲しすぎるだろー😭

で、結局のところ、ロケット以外はそんな希望も虚しく、エヴォリューショナリーにやって殺されてしまう。

最後まで希望を夢見たライラや無惨にも流れ弾に当たって亡くなってしまったティーフスやフロアの死に直面し、怒りのままエヴォリューショナリーに襲いかかり、顔をズタズタに引き裂いてしまうロケット。そのまんま敵の銃弾を掻い潜り、必死に宇宙船に乗り込んで逃げ果せ、あれだけ純粋で優しかったアライグマが今のアウトローに変貌してしまったという事実に、そして、それまで悪態ばっかで悪趣味なロケットのバックボーンにこれだけの悲しい過去があったという事実に哀しみを感じずにはいられない。そりゃ、仲間に過去を明かすことがないわけだ。

で、話は現在に戻り、オルゴ・スコープでは済んでのところで「キル・スイッチ」のデータを奪われてしまった一味は遂にエヴォリューショナリーが待ち受ける地球に似た惑星「カウンター・アース」へ。

見た目や内側も完全に現実世界の地球そのものなんだけど、自由の女神がまんまエヴォリューショナリーの悪趣味な像になっていたり、住んでいる住人もロケットの実験動物以降に生み出されたであろう人間と獣が入り混じったような姿だったりと2に続いて、別の角度からの「ユートピア=ディストピア」描写だったり、そのものズバリ「猿の惑星」感すら感じさせる。

で、ここではヒーロー映画らしくアクションのギアも更に上がる!!特にグルートは「ONE PIECE」のチョッパーよろしく「モンスターモード」に変身したり、クイルと敵に囲まれて内部の何本もの触手全てに銃を構えての乱射シーン、及び落下したクイルを助けるために背中部分から、再度「ONE PIECE」のロビンのように枝の翼を生やして滑空したりとなんつーか万能w

あ、あと「ONE PIECE」といえば、その前のオルゴ・スコープのパートもそうだけど、それぞれの別働隊で動いても「チーム」としての「厚み」がある感じがマジで麦わらの一味感あるよなー。

で、エヴォリューショナリーの本拠地で敵に取り囲まれる窮地を脱し、キル・スイッチのデータを奪取するも、「完璧な生命」のために既存の失敗作を崩壊させるだけと自らの生み出した惑星そのものを爆破し、カウンター・アースを崩壊させようとするエヴォリューショナリー。

一方、なんとかキル・スイッチのパスコードを使い、手術を再度試みるも解除も虚しくロケットは心停止…。

死の狭間の中で、かつての仲間ライラと再会し、自らもライラたちのもとに向かおうとするも「まだ、やるべきことがあるでしょ」とライラに諭され、死の淵から生還を果たすロケット。

そして、奇跡的に生還したロケットと共に仲間たちが集い、待ってましたな「ワイルドバンチ」な横歩きで歩き出すシーンで流れるのがビースティー・ボーイズの「No Sleep Till Brooklyn」!!ヤンチャなパンク感全開で勇みゆくその姿はまさにヒーローという感じでキタキター!!と激上がりなんだけど、ロケットを救い出すという当初の目的を果たした彼らがエヴォリューショナリーの宇宙船に取り残された「子ども」と「動物」を救い出すために行動するという点もめちゃくちゃヒーローしてるじゃないですか!!

正統派ではない、アウトロー集団な彼らが動物、子どものために命を懸けるってのが最高に熱い!!熱すぎる!!

で、それだけで終わらないのが今作。扉を開けると待っていた敵の兵団やモンスター相手にロケット→グルート→マンティス→ネビュラ→クイル→ドラックス→そしてガモーラと怒涛の連携プレイで凄まじい長回しで展開していくアクションシークエンスの流れるような美しさにうっとりし、ラスボスであるエヴォリューショナリーと遂に対峙したロケットがアイアンマンよろしく「俺はロケット・ラクーン(アライグマだ)」の一声でそれまでの仲間の死や受けた傷を100倍返しするかの如く、「今共に戦う"仲間"」と共にフルボッコにするラストバトル。

そして、文字通り「上っ面」を剥がされ、完全なる敗北を喫したエヴォリューショナリーに対して、殺すのではなく「ガーディアンズだからだ。」と「あえて」トドメを刺さないロケット…彼もこれまでの戦いを通して変わったんだなぁ…。

だからこそ、今作何よりも「ロケット」の物語だったと言えるラスト。

宇宙船脱出の際にあわや間に合わず死んでしまうのかというピンチにまさかのウォーロックの助けもあり、仲間のもとに生還したクイルはガモーラとの再会で地球に残された「家族」のもとに帰る道を選び、マンティスは自分探しの旅に、ガモーラは元のラヴェジャーズに戻り、チームは解散…かに思えたが、クイルは「リーダー」の座をロケットに譲るんだよなぁー!!

ここでのみんながロケットに対して胸をドンドンと叩く仕草によって、新たなリーダーとして認めるシーン、そしてあのグルートが「I am Groot」でもなく「We are Groot」でもなく「I Love you,guys(みんな愛してる)」というセリフでうぉーー!!感動だよー!!

本作、ぶっちゃけめちゃくちゃ感動し、涙で咽び泣くというシーンは個人的にはなかった。ただ、エンドロール後、新たなリーダー、ロケットが立派にデカくなったグルート、ヤカの矢を完全にマスターしたクラグリン(ショーン・ガン「サラリーマン・バトルロワイヤル」)、念力を操る宇宙犬コスモ、そして新たなメンバーであるウォーロックと新人類の子ども、フィラ・ベル(アデリン・スプーン)と共に「お互いのお気に入りの曲は何か?」という他愛のない話をしながら、ロケットが「俺か?」とかけるのが、一作目、まだほとんどの人にその存在を知られておらず、誰もここまでの成長を遂げると思わなかった中で、センセーショナルなタイトルと共に、広くその名を知らしめたあの曲!!

Redbone/「Come And Get Your Love」!!


まさかのこのチョイスと共に新たな仲間と名も知らぬ惑星の危機を「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(銀河の守護者)」として立ち向かうその勇姿で終わるラストに静かな感動を覚える。

なんというか、この休みで改めて過去作や関連作を一気に観たというのものあるけど、誰も知らなかったはぐれ者集団が、反発し合い、時に決別しながらも何度も銀河の危機を救い、そして時と共に「継承されていく」、その流れをリアルタイムで追ってきた身としてはすごく…すごく感慨深いし、胸がいっぱいになる。

もう、これでガンはDCに行っちゃうし、キャスト陣もこれが最後な人も多いのはすごく残念だけど、2014年に始まったこのシリーズ、多くの人々に愛されたまま、こんな希望に満ち溢れたラストで締めくくられちゃ、ファンとしては感謝の気持ちと共に盛大に送り出さなきゃダメだよね!

ありがとう、ガーディアンズ!!最高でした!!

その魂は永遠に!!
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