MitsuhiroTani

焼肉ドラゴンのMitsuhiroTaniのレビュー・感想・評価

焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)
5.0
大阪ミナミに生まれた私は、子供の頃、学校での正しい平等教育と、街のリアルのアンバランスを同時に吸収してきた。親の世代が微妙に持つ差別意識に対し、美しく時に青臭い正論で立ち向かったこともあった。そして、その一方で、古い歪んだ価値観の父に、韓国人やインド人、中国人の麻雀、ゴルフ仲間がいたことが不思議だった。世代の共有する価値観は価値観。個人の人間関係は別。亡き父が心の中でつけた結論だろう。
40年近く前の話。
映画の舞台は、大阪伊丹市らしい。空港拡張工事に駆り出された方々が行き場なく居着いた地区だそうだ。国からみれば国有地の不法占拠でも、住まう人々から見れば生活拠点、我が街。
本作は、ホルモン焼きの店を営む家族の愛の物語。
とにかく、家族の魅力に溢れている。まるで、傑作「宗家の三姉妹」ような姉妹。苦楽を共にしてきた夫婦の魅力。そして、情けない男達。こんな悲惨な人生なのに、羨ましく、眩しかった。
その後の家族に逢いたい。
井上真央の演技に驚嘆。父親役キム サンホと、母親役イ ジョンウンの演技を超えた魅力にやられた。
MitsuhiroTani

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