朧気sumire

ゴッズ・オウン・カントリーの朧気sumireのレビュー・感想・評価

4.3
最初は生気の無い顔を俯かせていたジョニーの表情の変化や登場人物達の心情を読み取れる手の動きが本当に綺麗。

とにかく手の動きが美しかった!
呼吸しない子羊を助けようと子羊の体をさするゲオルゲの手。
中盤、ゲオルゲと一緒の部屋で寝るときに押し寄せる期待と緊張から傍らにある干し草を握りしめるジョニーの手。
ゲオルゲの頬を撫でるジョニーの手。
感情の伝わる手の動きは本当に繊細で、こんな表現があったんだなと感動。

そして主人公は同性愛者だからとマイノリティ特有の苦悩はあえて出さずに日常をシンプルに描いていたのが逆に新鮮でこれまた感動。
出会った人を恋い慕うようになって無事結ばれるも家族の病状悪化に悩み、牧場経営の厳しさに悩み、恋人との関係に悩み……。
正直マジョリティもマイノリティも関係ない普遍的な悩みを抱えた “同じ1人の人間として” ジョニーとゲオルゲを映したこの映画を見られて良かったと心から思う。

「同性愛者とか以前に自分と同じ1人の人間だ」なんてそんなの当たり前じゃん!と思ってても、いざ自分と違う所が1つでもあれば不適切なフィルターをかけて相手を見てしまいがちな事に改めて気づいた。
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