み

バイスのみのネタバレレビュー・内容・結末

バイス(2018年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ジョークや演出のセンスがよく、釣りやカップソーサーになぞらえた例えが秀逸でかっこいい作品だった。メタ的要素も楽しめた。序盤でテイストを掴み、中盤では政界を一度退いた後に入る偽エンドロールやシェイクスピアの劇のくだりで声に出して笑いそうになったと思ったら、終盤は全く笑えなく、ホラー映画よりもホラーな展開に固まってしまった。
ディックについて興味深いなと思うところは、妻や娘といった身内へ誠実な態度と、仕事で見せる策略的な態度が全く異なるように見えるというところ。愛する人、大切にしたい人にしたい人はアメリカ軍兵士にもイラクの一般市民にもいるわけで…。そこを同じ観点で考えられないところが不思議で仕方なかった。
全体的には演出で楽しめる部分と政治的に今の情勢も含めて考えさせられる部分とのバランスがよかった。少なくとも「ブラッククランズマン」よりかは後味もいいし説教臭くもない。とは言え「ワイルドスピード」の次回作を楽しみに生きているタイプの人間で申し訳なくなつた。
み