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「バイス」に投稿された感想・評価

ねぎお

ねぎおの感想・評価

4.7

このレビューはネタバレを含みます

町山智浩さん登壇の試写会に行ってまいりました。
こうなると自分のレビューよりも情報をみなさんに伝えるほうが意味あるかなと。


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・アダム・マッケイ監督は元々「サタデーナイトライブ」という番組で毎週政治家をネタにお笑い演出していた
・イラク戦争より前、息子ブッシュがゴアと闘っていた頃、チェイニーに扮して「ブッシュが大統領になったら戦争するからな!軍事系企業の株買っておけよ」と見事予言していた
・登場人物が100人を超える映画。町山さんをもってしても全員はわからない。でも実在の人々を演じている
・ポイントで登場するルアーフィッシング。これは911テロの犯人は擬似(ルアー:疑似餌)だったことの象徴。またチェイニーは息子ブッシュすら釣っていた
・ナレーターをしていたのはハートさん。白人 非都会人 ブルーカラー まじめに戦争にも行く 共和党支持者・・といういわゆるアメリカ人の代表として描かれ、さんざんな目にあわされ、最後心臓まで奪われる。(肉屋を支持する豚)
・まさにハート(心臓・心)のないチェイニーがハートを奪って行った

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というあたりが町山さん解説で得た情報。
続いて町山さん提供の動画の情報。アダム・マッケイ監督、クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムスのインタビュー映像から。

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<監督>
チェイニーの描き方:若いころは政治なんて興味のないゴロツキ。そこから戦争を起こす当事者になるまでの、振れ幅の大きい変化を描きたかったとのこと。
(全米3位のイエール大学を中退し、同183位のワイオミング大学へ。挫折人生。
みんなブッシュに投票したはずなのに、選挙を経ていないチェイニーが大戦争を引き起こした悲劇)
<クリスチャン・ベイル>
(映画によって体重激変の役作り・・)実は今回チェイニーが心臓に病を抱えることから心臓外科医に取材をした。最も心臓によくないことをしているのが自分なんだと気付いた!笑
特に娘からもうやめてくれと懇願され、そんな役作りはしないそうです。
心臓に異変が生じるとまず手に症状が出るそうで、それは演技に取り入れていた。
口を曲げる仕草は若いころはしていない。抑圧に伴い癖となっていった。抑圧・・・それかみさんだろ!(by町山氏)
<エイミー・アダムス>
自傷癖のある弱い女性を演じたテレビドラマとほぼ同時期の撮影で、内面を作るのがとても大変だったとのこと。「マスター」という映画(新興宗教の教祖の妻:やはり裏から操る)での役と比較されることが多い。
リン・チェイニーさんはコロラド大学主席卒業の天才。最後ゲイの次女がいるにも関わらず、政治家の長女に、同性婚に反対と言わせるよう命じたのがリンさん。そんな人物。

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わたしの思ったこと。

息子ブッシュはかなり間の抜けたアホという演出がされていました。笑えるほどです。またサム・ロックウェルの演技がそれを助長しています!
ラムズフェルドは「ハイテクの武器があるから遠くから狙えるんだ。だから兵隊も少なくていいし安全な戦争なんだ!」と第二次イラク戦争へと導いた戦犯のひとりでした。彼の顔については積極的に真似する方向にはなかったですが、冒頭のまだ善を持ち合せたチェイニーとのやり取りはそのクソっぷりが出ていましたね。
途中綺麗にエンドロールが流れ始めて・・というくだりを筆頭に本当に皮肉が効いていました。編集ポイントも相当作為的というか痛快なテンポで絶賛されるべきと思います。まだなにがしか起きていないタイミングで黒味にして明けると終わってるとかテレビ的な表現センスが心地よかったです。

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最後・・・町山さんがアダム・マッケイ監督に「日本ではこのような映画は作られないがメッセージは」と聞いたところ・・

「権力を疑うことに尽きる。監視を怠れば国は危機に陥り崩壊する。政府が静かでも、全力を賭けて疑うんだ。時に仕事を失い、時に恥をかくかもしれない。しかし歴史は証明するだろう。最終的にはあなたが正しいことを。アメリカでも人々が権力を恐れて口をつぐむことがある。ただあなたが映画製作者、詩人、小説家、俳優、芸術家ならば、権力を疑うということをまずするべきなのだ」

まあ今の日本映画界にそんな人はいないだろうけれど、期待は捨てません。
あやの

あやのの感想・評価

3.0
私は考えるのがめんどくさいと3点をつけさせて頂く傾向があるんですが、若干それ…。

やっぱ政治モノ、社会モノは難しい。
当時の知識の有無、あと当然ながらアメリカ人と他国の人間、という点でこの作品を理解しきれるか、楽しめるか、って全然変わってくるんだろうなーと思う。

もっとコメディ感満載と思いきや、テロや戦争のあたりがやはり大事になってくるので辛かった。コメディ感あるところも勿論あるけど。
どんな大義名分を振りかざしてもこれだけの犠牲を出したんだぞお前ら…って、怒りなのか呆れなのか通り越した感情になった。

ただブッシュが出ると皆笑う準備をしていた。笑
あとクリスチャンベールってこんなんだっけ…?って錯覚に陥る。

日本じゃこんなの作れないだろうにお国柄というか、すごいな…と思った。

アメリカ人の鑑賞中のリアクションや評判を見てみたい。
せりな

せりなの感想・評価

4.0
試写会にて。

クリスチャン・ベールは勿論のことサム・ロックウェルも本人にかなり似ていてそっくり振りが面白かった!
SNLとかやってた監督なだけあってコメディタッチな演出が魅力的ではあるんだけど、政治批判のメッセージもかなり強かった。

多かれ少なかれ、人は目的のために手を回したりしてしまう生き物だとは思うけど、あのレベルまでいくとダメだよね。人の感覚ってすぐに麻痺してしまうからエスカレートしてしまうんだろうけど…
チェイニーに関しては奥さんがああいうタイプじゃなかったら、こんな事にはなってなかったかもしれない。個人的な感情が世界規模に影響を及ぼすこともあるという事を知った。

この映画を見てると、権力者というものは、言葉の言い換えや印象操作で市民の感情を誘導するって事を忘れちゃいけないって事と、
ウォーターゲート事件でニクソン大統領の失脚からイラク戦争、アサンジや、スノーデンの登場、ISISの台頭が繋がって見えてくるなと感じた。それと、世界を巻き込んだ大事になっている動機が個人的過ぎて、人間の業の深さを見た気分になった。

日本でもこういう政治批判を題材にした作品を作って欲しいと切に願う!
とえ

とえの感想・評価

4.0
9.11当時のブッシュ政権で副大統領をしていたディック・チェイニーを描いた作品

田舎に住んでいる特に取り柄のない大学生だったチェイニーが、恋人のリンにそそのかされて政治家になると、やがて政治家の権力の味を覚えてしまう

そして、そこからのし上がって副大統領に登りつめると、大統領をうまいこと操るようになる

そんなあらすじを聞くと「政治の映画か…難しそうだな…」と思うかもしれない

確かに、この映画は政治を描いた社会派作品で、政治家もたくさん出てくる

でも、これは社会派であると同時にコメディ映画でもあって、声を出して笑ってしまうぐらいに面白い

で、笑って楽しみながらも、次第に当時チェイニーがしていた悪業の数々を思い知らされる

特に、911後のイラク戦争で何が起きていたのかについては、とても衝撃的だった

中には、余りにも一方的過ぎる視点で描かれている部分もあったけれど、でも、元副大統領について、これだけ茶化して映画にしてしまうアメリカの懐の深さを感じる作品になっている

そして、アカデミー賞でも話題のクリスチャン・ベール

もう、正直、クリスチャン・ベールだってことを忘れてしまうクォリティの高さ

映画後の解説では、口の曲げ方までチェイニーの真似をする徹底ぶりだったそうで、迫力がもの凄かった

おかげで、チェイニーという人の非道で、狡猾でありながら薄っぺい人間性をより感じられたと思う

社会派ということに対して、あまり構えることなく、肩の力をを抜いて楽しんだらいいんじゃないかな

あの当時、アメリカの裏側で何が起きていたのかを、ぜひ、感じて笑って欲しい作品
町山さんのトークショー付き試写会に参加して来ました!!楽しいトークショーで、映画のわからないところもスッキリとわかる解説になってました

カメレオン俳優、クリスチャンベール主演の本作、町山さんも言っていましたが、この役を演じる為に(主人公が心臓の持病があった為)心臓について、クリスチャンベールが色々と医者に聞いたみたいで、クリスチャンベールのように痩せたり太ったりするのは心臓に良くないと言われたというエピソードまで、トークショーで話してくれました

役柄によって、減量や増量を繰り返しているストイックなクリスチャンベール、今作でも、特殊メークも有りますが、やはり体型も主人公に近づけていました(笑)役者魂を感じます

政治物ですが、堅苦しく無くユーモアもあるし、笑えるシーンもありなので、最後まで、飽きずに楽しめた作品でした

登場人物が多すぎて、若干、この人は?と言うシーンもありでしたが、そこは気にしなくてもいいかなと(町山さんもわからなくて当然と言ってました 笑)

大統領にスポットを当てた作品は多いですが、副大統領にスポットを当てた作品は今までに無いので、中々、目の付け所が面白い

クリスチャンベールはもちろんのこと、ブッシュ大統領を演じたサムロックウェルがあまりにも似すぎていて、そこまで寄せてくるとは(笑)皮肉たっぷりに演じているかの様でしたが

9.11からイラク戦争へと向かうアメリカの真相も描かれていて、思っていた真相と違っていだのには驚きでしたが、面白い作品でした

アメリカならではの作品、日本だと政治家を扱った、こういう作品は無理かな
どど丼

どど丼の感想・評価

3.7
国内最速試写会にて。

「史上最凶の副大統領」という何とも笑えない存命の人物が主人公ながらコメディタッチを思わせるポスターや予告、宣伝のためとはいえ酷いと思いながら蓋を開けたら広告通りの内容でした。

会場は絶賛の嵐でしたが正直全然合いませんでした。町山さんが言ってたように政治的悪事を笑って済ませるような精神が宿っていない典型的な日本人なので、イラク戦争を引き起こした張本人の存在を嘲笑して見るのは難しかった。カートの存在も全然笑えない、彼自身に失礼だと感じ不快に。

話のテンポも好きじゃなくて、本編の映像と実際の映像と実際の映像の再現をひたすら繰り返して来るのが鬱陶しくてならなかった。ドキュメンタリー番組の再現ドラマを観てる感覚。一人の人間がのし上がってく様が2時間ある割に薄いというか、映画として見せるには物足りなかったかな。クリスチャンの演技は良いんだけど。

ブラックな政治ネタを楽しめる人にはもってこいなのでは。あと、誰とは言いませんがマーベルキャラが出ます。
wanda

wandaの感想・評価

3.4
試写会にて鑑賞。

ディック・チェイニー元副大統領が主役の映画。私は彼の事は何も知らない。
知識なくても楽しく観れたが(遊び心があちこち!)、その頃の政治や世界情勢などある程度知っていれば、もっと面白く観れる感じ。
『マネー・ショート』の時のように、ややこしいところは比喩的に説明してくれる(笑)今回はカート(だったかな?)という謎の白人男性がナレーションしており、最後に種明かしされるのだが…あらまぁ皮肉だなぁと。
ザクザクした編集で目が忙しいけど、そこが面白い所でもあると思う。

影の大統領も妻に操られてたって事?まるでマクベス夫人、と思っていると、いきなりシェイクスピア始めるしね(笑)
そんな風に全体的にテンポがサクサクしてるので、長尺は感じなかった。面白いのが、一時間もしない頃にいきなり…(ネタバレなので伏せますね)

で。私はエイミー・アダムスが好きなので、この映画を観たんですけど。正直、ちょっと勿体ないというか、物足りないというか(アカデミー賞ノミネートされてますが)
好きだからあえて言います。エイミーはいつも通り良いのだけど、私はそんなに魅力的とは思えなかった。彼女の良さって、この手の役(たとえば実在の人物だったり、性格が強めだったり)だと半減されちゃう気がした。もっと感情の揺らぎがあるキャラがいいな。
ちなみに『Sharp Objects』撮影終了一か月後くらいで、本作の撮影がされたそうで、振り幅が大きいから苦労したと語っていた。すごいなぁ、全然違う役だもんね。
クリスチャン・ベールとエイミーが並ぶともはや貫禄。お似合い。相性良いのだろうね。本作での夫婦感は素晴らしかった。そこはとても好き。

そんなわけで、エイミーを映画館で観れるチャンスなので、公開されたら予習してまた観るしパンフも買うよ(笑)
HarunaYagi

HarunaYagiの感想・評価

3.8
最速試写会、町山さんの解説トーク付きで贅沢に先に観る機会に恵まれた。

もともと政治ドキュメンタリーが好きなのもあって超面白かった!

マイケルムーアのドキュメンタリーとハウスオブカーズと超贅沢再現ドラマの融合って感じ。チェイニーは勿論、ラムズフェルド、ライス、パウエルに、息子ブッシュ!!!驚異の再現度と「ありそうな仕草ややりとり」ですごく笑えつつ、やはり色々考えると全く笑えない…。こういう表現でシリアスな事柄を切り取っていき、時に予言めいたことすら発するアメリカのコメディの成熟度を感じる(そりゃ下らないのもあるだろうけど)

ひとつ気になったのはチェイニーの奥様はなぜ夫のあそこまでの肥満に対して対処しなかったのだろうってことで…。ここ考え中。
試写会で鑑賞。町山さん解説付き。
副大統領が陰で大統領を操り歴史を変えてしまう話。しかし副大統領ですらもある人のある目的のために操られてるという。。
チャカチャカした編集、中盤のまさかの演出の連続、スリービルボードと同じようなサムロックウェルのアホ演技が良かった。

特に、ディックがブッシュに副大統領にならないかと誘われて、大事な決断を妻と考える場面で「この時、彼はどう思うだろうか。すごくデリケートな問題に直面しているに違いない。ティーカップとソーサーがいくつもに積み重なりどう倒れても歴史が変わってしまう。でもこれは映画だから、その後暗転なんかしてベットでシェイクスピア劇的に夫婦で会話させよう!(笑)」みたいなナレーションが入る。で、その茶番が始まって、また直ぐにちゃんとしたシリアスなムードにカットが切り替わる。文字で書いても伝わるか分からないけどそこが一番面白いシーンだった。
鑑賞前日にウィキで彼について調べたんだけど結構満遍なく彼に関するエピソードを扱ってた。生い立ち、過去に逮捕歴があること、娘がレズビアンである、心臓病、釣りの趣味など。この辺はストーリーに大きく関わることだが、鳥と間違えて人に銃撃っちゃう話とかも入ってて面白い。あとなんかあったかな。
釣りの話と心臓病の移植シーンは見逃せない。

アメリカではこういった名の知れぬ誰かがのし上がっていくような話が好きなのかな。
式では主演男優、編集、メイクアップ賞に注目!
aymm

aymmの感想・評価

4.0
町山智浩さん解説付き試写会にて鑑賞。

痛烈なブラックユーモアでアメリカ政府をぶった斬る社会派コメディ。

9.11からイラク戦争へと混乱の時代のアメリカ。
ブッシュ大統領を陰で操り、戦争を推し進めたディック・チェイニー副大統領。
彼の生い立ちから、家族や病気のことを織り交ぜながらテンポよく描かれている。
スクリーンを使ったおおふさげは久しぶりに観たかも。(笑)

予備知識は無くても観れるが、この当時のアメリカ政治についてよく知っていた方が、皮肉が分かって楽しめると思う。

あと、チェイニーとブッシュをYouTubeで見ておくといいかも(笑)
声まで本当に似てる!途中からクリスチャン・ベールだってことを忘れてしまって凄いとも思わないくらい。
そして妻役のエイミー・アダムスも見事。強烈な役どころを見事に演じていて、超絶美人なのにやはり演技派。
チェイニー副大統領のことすらあまり知らなかったのに、奥さんがまさかこんな人とは思わず、娘とのことに関しては同じ女として驚いた。


鑑賞後、町山さんの解説で理解が深まった訳ですが、考えさせられたのは「日本でこういった映画が撮れるか?」という問いかけでした。

本作の監督は元々コメディ番組を撮っていた人だそう。
「サタデーナイトライブ」という番組では政治家のモノマネを面白おかしくいじり倒すそうで、日本ではありえないですよね…

しかも本作は、アカデミー賞作品賞、脚本賞ならびに俳優部門も総ナメしているんだからアメリカって凄い。
自由の国。そして映画文化の日本との違いは歴然。


監督の「権力を疑え」というメッセージが笑いの中にもしっかりと刻み込まれていたと感じた作品でした。
サプライズなキャスティングもあったのでそこも楽しめるかと!
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