スタンダード

バイスのスタンダードのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.0
『私、ディズニーが好きなの‼︎』
『えっ、ディック・チェイニー?』


【発見】


リン・アン・ヴィンセントは、
理想の亭主を探し求めていた。


目の前には理想がごまんといる。
しかし、その中で彼女が選んだのは、
誰もが見向きもしない男であった。


平穏を求めるならば、
将来の旦那がする多少の火遊びにも、
目をつむらねばならない。


しかし、
それはリンの野心が赦さない。
彼女が男性に求めるのは、
自分だけを永遠に愛し、
神の前で誓った言葉を破らない。
そんな男性である。


【きみはペット】


『ゴジラをペットにするのね?』


『違う、我々がペットになるのだ』


ディック(VICE)は、
リン(ゴジラ)のペットになったのだ。


【再生】


『再選』したはずのニクソン大統領は、
『再生』したテープにより職を辞した。


『再生可能』なはずのエネルギーは、
レーガンの手により『廃棄』された。


政界から身を引いたはずの男もまた、
一人の野球バカとの『再会』により、
『再生』を決意する。


【素通り】


人は魅力的な人間には振り向くが、
平凡な人間には見向きもしない。


『今』でしか人は、
人間の価値を評価できないからである。


人間は蝶のように、
『幼虫から成虫に完全変態』
する生き物ではない。


だから美少女や神童のような、
生まれ持つ才能は優遇される。


彼らは成人しても、
大成する可能性が高いからである。


しかし、
ディックのような若者は評価されない。
先の将来に希望がないからである。


ただ極稀に、
醜い人物(幼虫)が完全変態を遂げて、
怪物(成虫)になることがある。


【無知・無関心】


人が不幸を回避するには、
無知であることが
最良の方策である。


そうすれば人は、
見える恐怖にのみ目がいくため、
本質に気づくことなく一生を終える。


ディックやリンは、
普通の人が気づかぬことにも
敏感に反応してしまう。


気づかぬフリをして、
目をつむることだって出来ただろう。


しかし、
それはリンとディックの野心が赦さない。
彼らが大衆に求めるのは、
一時の情欲に溺れて、
神の前で誓った言葉に唾を吐く。
そんな世の中である。


【anonymous= Dick Cheney】