YUKi

バイスのYUKiのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.7
ブッシュ大統領政権下のアメリカって
9.11があり、イラク戦争が勃発し、
更にリーマンショックへ‥っていう時代で。

マイケル・ムーア監督の
ドキュメンタリー映画なんかも
観ていたから、すごく記憶に濃いはずが、
その側近のディック・チェイニーという
副大統領の存在は全く認識していなかった。

こんなに骨太で高カロリーな重鎮が居座っておられたんですね‥。
いや本当に濃厚だった。
背脂マシマシとんこつラーメンだった。

それにしても副大統領と言われれば
聞こえは良いが、いざとなったときは
大統領の身代わりとして
一瞬にしてその座を失落しそうなポスト。
ときにはその地位を利用し、利用され‥。

マイケル・ムーアはアメリカの政治家たちが
いかにアホであるかを謳っていましたが、
常に狂気すら持ち合わせた
クレバーな策略家でなければ務まらない。
そんな印象でした。

イラク戦争のくだりでは
その手腕を惜しみなく鮮やかに
発揮していて、徹底した管理態勢を
構築していたのは彼だったのか‥と。

加えてこの作品、近代史を描いている割には
エッジが効いた演出や映像効果が
取り込まれていて、
積み重ねられたティーカップや
中盤にまさかのアレ(!)のぶっ込み、
とくにわたしが大好きな演出は
この作品の“語り部”の持つ意味、です。
(しかも「ブレイキング・バッド」の
トッドを演じたジェシー・プレモンスでしたよね。)

いや役者陣は言わずとも壮絶な演技対決を
鮮やかに繰り広げてましたが、
あいつが居なければ成り立たない‥。
んですよ!

そういった構成含め、自分の無知さは
エンドロール後に反省せざるを得なくなる、
という落としどころなんかは、
作品として本っ当に高カロリーでした。
YUKi

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