「サンセット大通り」+「帰ってきたヒトラー」
ブッシュをカウボーイにしたのは誰だったのか?
いやもう、本当に素晴らしい。
語り部の役割、大胆な比喩表現、皮肉の聞いたメタ表現……なにもかもが素晴らしい。
特にレストランのシーン。
「全部もらおう」のくだりは、爆笑を誘うとともに心底から恐ろしかった。
メディア批判については「フロントランナー」にも通じるところがあったけれど、真面目一徹だった「フロント~」に比べて映画ならではのハッタリを利かせた作りをしており、かなりエンターテイメントしていた。
9・11~イラク戦争周りのことだとか、トランプ政権周りのことへの知識が少しでもあれば、腹を抱えて笑うことができる。
「あいつらに政治が分かるものか!」とスティーブ・カレルが吐き捨てるシーンとかニヤニヤが止まりませんぜ!
俳優の芝居も、また素晴らしい。
クリスチャン・ベールとかクリスチャン・ベールに見えない。
間違いなく過去最高のパフォーマンスです。
一緒に年を重ね、ブクブク太っていくエイミー・アダムスにも脱帽。
スティーブ・カレルは小気味良くありながらシリアスな演技を見せ、さすがの存在感。
そしてサム・ロックウェルのブッシュジュニアは、もう、どっからどう見てもブッシュジュニアです(笑)
最後に分裂していく家族の姿は、いまのアメリカなのか?
いやいや、日本だって他人事じゃない。
個人的には、いまの政権を唾棄すべきものとは思っていない。
日本は変わらなければいけない局面に来ているが、ことなかれ主義、現状維持を希求切望する国を変えるには、強引なやり方も已む無し、とも思うからだ。
けれども、一歩、間違えれば、我々もまた、高く積んだソーサーとカップを倒すことになってしまうのだろう。
最高に笑って、最高に恐怖しよう。
これは、全ての日本人が観るべき映画である。