えいこ

バイスのえいこのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.1
洒落たカットとひねりの効いた構成で、悪名高き副大統領と俗物的な側近の面々の所業が描かれるブラックコメディ。笑いを入れないと、棘が立ちすぎてエンタメにならないというところだろうか。

クリスチャン・ベイルの驚くべき役づくりはもちろんのこと、ラムズフェルド、ブッシュ親子など、誇張されたそっくりぶりに思わず笑ってしまうが、時折挟まれる戦争の深刻なカットに、これが事実である重みに愕然とし、国民そっちのけの権力志向と政権私物化に寒気がする。

当時のニュースの記憶にチェイニーの印象はあまりなかったが、嫌味なラムズフェルド、頭の悪そうなブッシュ、比較的良さそうなパウエルがだんだん影が薄くなっていく感じに先行き不安を感じていたことをぼんやり思い出す。

もはやどこの国も似たり寄ったりなのかもしれない。戦場に送られて、何が起こっているのかわからないまま死んでいくなんてゴメンだ。見くびられないように目を光らせて阻止しないと、とあらためて思う。

エンドロール始まってからの「リベラル臭いぞ」には笑った!
えいこ

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