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バイスのutakoのネタバレレビュー・内容・結末

バイス(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ジョージ・W・ブッシュ政権下、アメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われ、9.11以後のアメリカをイラク戦争へと導いたとされるディック・チェイニーを描いた社会派エンタテインメントドラマ。(映画com.より)

酒癖の悪い落ちぶれた電気工から政界への道へ。ホワイトハウスのインターンから、ラムズフェルドの部下となり政治家として出世コースの道を突き進み、ニクソン退陣後フォード政権下で若くして大統領補佐官を経験。フォード退陣後は心臓病を患い、体調面に不安を抱えながら下院議員として成功。その後ジョージ・H・W・ブッシュ政権で国防長官を務め上げる。
野心を燃やし大統領選を視野に入れ始めるが、次女が同性愛者であることが判明。保守的な共和党にあり、娘を優先し泣く泣く大統領への道を諦め政界引退…ここまでは出来る男で良いお父さんなのですよね。

順風満帆、石油掘削機企業のCEO就任で、家族一同幸せに暮らしましたとさ…と、エンドロールが挟まれる今作通りの終止符が打たれていれば、ハッピーエンドだったのかもしれないですね。少なくともチェイニーさんにとっては、歴史に悪名を残す事なく穏やかな余生になった事でしょう。皮肉たっぷりな創りに苦笑い。

引退したチェイニーを再び表舞台に呼び戻したのは、ブッシュ元大統領の息子ジョージ・W・ブッシュ。副大統領候補になることを要請されたチェイニーですが、心臓病・同性愛者の娘の件・妻からの反対もあり、はじめこそ辞退したものの、次第に出来の悪い大統領の陰で権力を掌握することを思いついてしまうのでした。

9.11以降のアメリカは、テロに過敏になるあまり事前の火消しという大義名分の下、行きすぎた取締があったのは『ザ・リポート』でも内容が詳しく描かれています。情報漏洩管理を徹底し閉鎖的であったことが独裁的政治判断となり、誤った政策を強行し続ける結果になったって、ホント恐ろしいことだ。そもそも大統領がお飾りだったがゆえの顛末なんでしょうけどね。

ご陽気大統領+血気盛んなインテリおじさま方…みんな嫌いじゃないキャラだけど、これはコメディ映画ではなくノンフィクションなところが笑えない作品でした。

たまたまクリスチャン・ベイル出演作を連日色々観てますが、18キロ増量と髪を剃り眉を染め挑んだ肉体改造による役作りは化すぎててただただ凄い。さすがにこの立派すぎるお腹は何か詰めてますよね…?笑
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