まぬままおま

クマ・エロヒームのまぬままおまのレビュー・感想・評価

クマ・エロヒーム(2018年製作の映画)
2.5
坂田貴大監督作品。

日本大学芸術学部映画学科の卒業制作にしてい劇場映画デビューとなる作品。
100年後の別の惑星を舞台背景とした美術や多数のキャストが出演するなど予算がかかっているなという印象。監督が23歳のときの作品で、卒制でこんなに画のクオリティが高いのは本当に凄い。

と言ってもよくもわるくもビジュアル先行なのである。それは監督の世界観が確立していると言えば聞こえはいいが、創造/想像力が不十分で自意識が過剰とも言えてはしまう。2100年代の別の惑星を描くためには、2100年代と表示されているコンピュータ画面を映せばいいわけでもないし、「異世界感」のある海岸をロケ地にすればいいわけでもない。100年後はホウキで掃除はしないだろうし、今の形の車や自転車もありえない。後半、その舞台設定が力尽きたのか、フィルム撮影であることもあって、バブル期に建てた近未来建築を舞台にした平成初期の映画にしかみえない。カルト宗教のような「ヤヌーカの丘」という団体が登場するんだし、同時代の地球のカルト宗教コミュニティの話にすればよかったのに。

物語も何か高尚なことが語られているようで、実は何も語れていない。
セックスが不能な男と身籠もりたい女の関係を描いた作品だと推測はできるが、なぜ女が男と愛し、子を欲しいのかよくわからないし、男の行動全般の因果関係がよく分からない。

素晴らしいのはエマ演じる村上由規乃の存在だろう。物怖じしないで脱いでいることに驚くし、背中がすごい綺麗。彼女のバックショットが本作の最もいいショットである。

本作は村上由規乃をみる作品であり、それだけの、それだけで十分な作品である。だから彼女をみれて満足ではある。