みおこし

グッバイガールのみおこしのレビュー・感想・評価

グッバイガール(1977年製作の映画)
4.0
クリーンヒット!!もっとスポットライトが当たって欲しい、ハーバート・ロス監督による傑作。本作でリチャード・ドレイファスは主演男優賞受賞、作品自体もゴールデングローブ賞作品賞を獲得するなど輝かしい実績を誇るのに、なぜだか知名度が低いのは全体的に地味な印象だからなのでしょうか...。

愛する男とLAに移住するはずが、捨てられてしまったダンサーのポーラとその娘ルーシー。住んでいるNYのアパートは既に次の借り手が決まっており、売れない役者ガーフィールドが引っ越してくる。断固として家を譲らないポーラに腹を立て、彼は無理やりアパートに住み始めるが...。

男運のないダンサーと、貧乏な偏屈役者の奇妙な共同生活をニール・サイモンのウィットに富んだ脚本で描いた作品。
マンハッタンを舞台にしているのもまたオシャレですが、とにかくセリフひとつひとつが小洒落ているし、思わずクスッとなるものばかり。ただポーラとガーフィールドが言い合ってるだけなのに、ついつい釘付けになってしまうのが不思議!おしゃまな10歳の女の子ルーシーもそこに加わり、大人顔負けのどぎついギャグをかますので最高です(笑)。

朝方にギターを弾き始めたり、寝るときは素っ裸だったり、挙げ句の果てに起き抜けには瞑想を始めるなど、我が道を行きまくるガーフィールド。冒頭は誰しも「ウザっ!!」ってなるはずなのに、だんだん彼のことが愛おしく思えてきちゃうのは、それくらいリチャード・ドレイファスが魅力的だから。彼以外にこの役はできなかっただろう、難しいけれど思わず一緒にいたくなる無邪気なキャラクター。
マーシャ・メイソン演じるポーラも、いつもイライラしてて全然可愛くなかったのに、どんどんガーフィールドとの日々を通して笑顔がこぼれるようになり、日々を一生懸命過ごしているけれどなかなか報われず、恋愛にも恵まれない、等身大の女性に見えてくる。個人的には2人ともものすごく共感できて、最近当たり前になってきている「美男美女のありえない恋」よりも、楽しく観ることができました。

仕事に家庭に頑張るポーラが、女の子としての喜びをひょんなことから手に入れる。幸せって思いがけないところからやって来るんだな、と教えてくれる優しい映画でした。屋上のシーンと、ラストシーンはもうニヤニヤが止まらない!なんてロマンチックなんでしょう。
馬車のシーンも泣いたなぁ...。
私の家にもガーフィールドがやって来ないかな?(笑)
かなりオススメです、笑って泣けてキュンキュンできる一本。
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