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生きてるだけで、愛。のおちゃのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.8
わかりたかった、わかりあえなかった。でも、わかりあえたその一瞬を作り出したのは確実に「愛」だった。

本谷有希子の世界ほんとうに共鳴できすぎて今更ながらめちゃくちゃすきであることに気づいた。
異様だけれど既視感のあるシチュエーションと抜け落ちた感情をひとつひとつ取りこぼさない言葉選び。
鬱に対して、西田尚美が「寂しいだけなのよ。」って2回言うことに意味がありまくるな〜と。寂しかったから、という一言でのカテゴライズが、当事者にとってどれほど苦しいか。一言で簡潔させられないような、複雑でまとまらない感情がそこには数えきれないほどあるのに、、
こんなにエネルギー使って感情ぶつけてんのに、楽されるとイラつくんだよ。
わたしはこの言葉をきっと、ずっと見つけたかった。

なんといっても趣里の酔っ払いの演技がオープニングから最高すぎた。血流して水飲むシーン。あとエンディングの踊り出す直前。赤と青のコントラスト。魅せ方がわかっているし、ほんとうにうつくしかった。

ほとんどわかりあえなかったけれど、わかりあえた一瞬がわたしを生かしてきた。
うわ〜、ひさびさにこんなきもちになったかも。
よっぽど生を全うしていたわ。

あなたはわたしと別れられるけれど、わたしはわたしと別れられない。いいなぁ。別れられて。
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