Natsu

生きてるだけで、愛。のNatsuのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.9
1/5000のあの一瞬だけで、生きていける。

原作はもう少し突き放して読めた気がするんだけどなぁ。さらに疲弊したわたしたちの映画になっていた。俯瞰して一笑に付すような人間でいられたら良かったのだろうか。
カットによって別人みたいに見える趣里。屋上シーンの「いいなぁ、津奈木」からの台詞が刺さる。対する菅田将暉の贅沢な引きの芝居。彼の内に秘めた熱が漏れ出すような美しさで、津奈木が救いに見えてしまった。諦観とまではいかず、自らなだめてやり過ごす。その温度と、叙情的になりすぎることのない音とカメラによって、物語の説得力が増している。真っ赤な部屋の中で躍動する寧子、交差する赤と青、絶望の中の光が一番眩しい。
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