わらき

生きてるだけで、愛。のわらきのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.0
本谷有希子の世界観に乗れるか否かやけど、すごい良かった。ほんまにこの人の描く「生きづらさ」って胸に響く。趣里が演じる躁鬱気味のヒロインは、映画史上最も生きづらいヒロインなんでは?ってくらい。本谷さんってこの「生きづらさ」を人物のセリフ、会話のやり取りの中でしっかり描いてくるから、やっぱり戯曲作家なんやと改めて思う。ま、原作未読やからなんとも言えんけど、台詞のやり取りはそのまんまやろなって思うくらい本谷さんの世界観が色濃い。
晩飯を買ってきた菅田将暉に応える趣里の台詞が秀逸。
「カツ丼とソース焼きそばどっちがいい?」
「あんたはどっちがいいの?」
「カツ丼」
「わたしも」
こんな彼女マジで腹立つわって思いながらも、いつの間にかこのヒロインの生きづらさに同情したり共感したり、もっと言えば菅田将暉みたいに羨ましくなったり。この多面的なキャラ造形が上手すぎる。
趣里がバイト先の「良い人」たちと根本的な断絶を感じる瞬間のウォシュレットの話も上手いなーって思った。あのシーンは趣里の熱演もあって名シーンになってる。
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