Naoya

生きてるだけで、愛。のNaoyaのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
2.8
鬱による過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社で執筆に明け暮れながら同棲を続ける津奈木。お互いの関係を描いたラブストーリー作。主人公の女性は決してキラキラした生き方ではないかもしれないが、彼女こそ、彼女だからこそ今をヒシヒシと、濃密度で、痛烈に〝生きている〟と感じた女性はそういないのかもしれない。ひきこもりながらも自分勝手、働かずにダラダラ過ごし、手を差し伸べられても突き放し、意味もなく行動する、感情の波が激しく、痛々しさが過ぎるくらい重い場面ばかり。共感できるものばかりではないが、共感できないからこそ、彼女自身が、彼女さえ知らない自分の今を未来を〝生きている〟んだと強く感じさせられる力強さがある。主人公の寧子を演じた趣里の繊細さ、時には大胆さや、力強さ、そして危険さと、様々な豊かな感情表現が生きている姿を生々しく演じていて凄まじい。感情の緩急が凄まじすぎて追いつけなくなるくらい圧倒的な演技力。結末まで辿り着かないと、寧子の生き様の一端には触れられない物語であり、随所の寧子特有の不穏さからの、終盤の開放感が凄まじい。相手役の津奈木を演じる菅田将暉の雰囲気がキャラによく合っていて、寧子との対比が印象的だが、似てる場面もあるのがより印象に残る。
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