マオ

生きてるだけで、愛。のマオのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.5
"多分、私達が分かり合えたのなんて、ほんの一瞬くらい。"

ずっと、苦しい苦しいと思いながら見ていた。
心臓をぎゅっと握り潰されてるような感覚で苦しかった。
なんで寧子って人はこうなんだろうと思う反面、まるでいつかの自分を見てるみたいで苦しかった。
こんな風にしたくないのに、みんなみたいにしたいのに、その上手く生きられらない自分へのもどかしさがすごくわかってしまうからすごくすごく苦しかった。
こんな自分なんて大嫌いだけど、誰かには愛してほしくて、誰かに自分を受け止め認めてほしいという心の叫びが痛いほど聞こえて、痛いほどわかってしまって苦しかった。

最後の寧子の台詞とエンドロールが始まった瞬間、今まで我慢していた何かがわたしの中でプツンと切れて、自分でも驚くほど涙が出て止まらなくて、上映後のティーチインイベント中ずっと泣いてしまった。
ティーチインイベント、本当に参加させていただけて良かった。。
主演の趣里さんのお言葉がカッチリ私の気持ちとリンクして、このイベントがあったからこそ、より救われた気がする。

「どうしたら自分を愛せますか?」という質問に、「私も自己否定してしまいがちで、私なんてダメだと思いがちだけど、そのゾーンから抜けてふと周りを見ると綺麗なものが意外とそこらへんにあったりするんですよね。
"まだ綺麗だなと思える心があるぞ私!"ってなります。」って答えてたのがもう共感しかなくてボロ泣きしてしまった。
以下、少しネタバレかもしれないですので注意。


「なぜ2人は一瞬しか分かり合えないのに3年も過ごしたのか?」
「2人が分かり合えた"一瞬"はどこの部分だと思うか?」
という質問に対して、
「損得を得られるとか共感できるとか、そういうことだけが一緒にいる理由じゃない。寧子には甘えもあるだろうけど、お互いにお互いが必要だった。言葉だけがわかり合う手段じゃない。」
と言う感じでご返答されてるお2人の言葉がスッと心に落ちた。
(余韻に浸りすぎていたので一語一句鮮明に覚えておらず、言葉は少し違うかもしれないです、すみません)
2人が"分かり合えた"シーンがすごく頭に残っている。

"いいなあ、津奈木は。わたしはわたしと、別れられないんだよ、一生。"
この台詞が、私の心にズシンと重くのしかかったし、どうして私はこうなんだろうと自己否定してしまうけど、自分を想ってあげれるのも自分を愛してあげれるのも、結局は自分だけで、自分こそが自分を愛さねばいけないのだ。

"あ〜あ、生きてるだけで、ほんっと疲れる。"
まさにそうなんだよ。
けど明日からは少し上手く生きられるような、そんな感覚にさせてくれる作品だった。
暗い部屋に差し込む青と赤の光のような、夜の街の光に照らされて夜風に当たりながら歩くいつもの帰り道がなんだか少し綺麗に思えて、
ただただがむしゃらに自由に走りたくなった。


「 夜空はいつでも最高密度の青色だ 」を見た後と同じ感覚だな〜〜
やっぱりこれらはラブストーリーというより、生と死というか 生きるとは がテーマだなと思う。
監督も言っていたように好き嫌い分かれる作品ではあるけど、それでも私の心には寄り添ってくれる作品だった。好きだ〜
マオ

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