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きばいやんせ!私のKUBOのレビュー・感想・評価

きばいやんせ!私(2019年製作の映画)
3.2
2月8本目の試写会は、夏帆主演「きばいやんせ!私」。

最後は祭りで盛り上がるっていうのは、地方創生映画の定石ではあるが、その祭りのシーンの力強さと説得力が否が応でも心を揺さぶる。太賀のあの表情は演技じゃなくてマジだろうな。真剣に神輿を担いでいた。

主役の夏帆は、いつもは幸薄い女性の役ばかりやってる気がするけど、本作では不倫で左遷された元人気女子アナ。「日本の奇祭」というテーマの番組取材で、かつて暮らした鹿児島県南大隅町で1000年続く「御崎祭り」を取り上げることになる。

地方創生映画の主人公と言えば、たいていは健気な頑張り屋さん、ってとこが定番だけれど、この夏帆演じるコジタカは、かーなーり、嫌な女。メインストリームから外れた今の自分に納得できず、与えられた仕事にも熱が入らない。周りの人たちにも毒づくばかりでかなり痛い女だ。

で、普通ならそのコジタカが南大隅町の人たちと出会ってどんどんポジティブに変わっていくのが一般的だが、もう一つ変わっているのが、その南大隅町の人たちも全然やる気がないってこと。

いつまでたっても、やる気のない女子アナVSやる気のない町のおじさんたち、の構図が続き、いつまでたっても肝心のコジタカが覚醒しない。エヴァのシンジくんを見ているようだ。

で、突然の開眼から、一気にクライマックスの祭りのシーンに飛ぶんだけど、なぜ急にそこまでコジタカが変われたのかに説得力がない。変わったあとも本当にがんばったのは夏帆じゃなくて太賀みたいに見えちゃうから、もう少し祭りの本番までに夏帆が奔走するようなシーンを挟めなかったものか?

夏帆のチャレンジングな役柄もよかったし、「御崎祭り」の映像から伝わる迫力も素晴らしかった。それだけに脚本をもう少しブラッシュアップできれば、もっと良いものになったはず。

地域創生映画なのに、地域創生映画をネタにした詐欺師が出てくるのは笑った。
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