たと

冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた Fine(フィーネ)のたとのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

2019.10.28@イオンシネマ。同名ライトノベル及びそれを原作としたTVアニメーションの完結編にあたる劇場版。1期から4年,最新作である2期からは2年と結構ブランクがありストーリーの記憶が薄れていたので,一応最低限の筋だけは思い出してから鑑賞。当時からヒロインや映像は評価していたが,どこかギャルゲーライターの自慰臭いスカした話が受け容れられなくて話数を経るごとに心底がっかりしていたのを思い出した。
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TVシリーズでは,主人公である安芸倫也の在り方や二期の終盤急に現れて雑に話を進めてしまった紅坂朱音が本当に嫌いだったのだが,本作は加藤恵の感情を追える構成になっていてその点はとても見やすかった。作中作のギャルゲーの構成をそのまま踏襲していて,言わば本作はTVシリーズでサブヒロインのルートを全て終えた後のメインヒロインルートという位置づけだ。
十分な関係性を持っていながら自ら身を引いた英梨々と詩羽に対して尖った才能も倫也との関係性も弱い(ことを自覚している)加藤恵が,自分の思いを抱え込んでいる描写はとても良かった。これで倫也に惹かれる理由にも納得して見られたらすっきり腑に落ちたんだろう……。
結局加藤恵は芯のところで強くて,独占欲もあって,でも"""普通の"""女の子であるという点こそが,倫也にとっての(そしておそらく丸戸史明にとっての)理想のヒロインたりえる理由なのだろう。とはいえ,朴念仁の安芸倫也が自分の好意に気づくシーン(理想のヒロインである巡璃が加藤恵に置き換えられると気づくとこ)は流石に今更かよとなってしまい気持ちがついていかなかった。
ドラマチックでなくとも今を大切にしたい加藤恵の意思に反して安芸倫也がサークルを裏切って話が動く展開は本当によくわからなかった。単に加藤恵の感情を引き出すためのイベントなのかもしれないけど,あまりにも経緯が雑すぎて全然納得できなかった。安芸倫也の行動が軽すぎる。
加藤恵の感情を追えるという意味では話の見せ方はすごく良かった。が,今思い返して作中の出来事を順番通りに上手く思い出せない事に気づいた。2回ほど時間を巻き戻して見せていたシーン(確か英梨々と詩羽が安芸倫也に助けを求めようとするシーンと加藤恵が涙を零すシーン)があったが,あの入れ方は話の腰を折ってしまっていると感じる。
全体として,映像に構成にと非常に善戦しているが,話そのものが受け入れられなかったという感想に尽きてしまう。オタク丸出しの自慰行為で良いから変にこなれず思うままに書け,というのが劇中の弁であるが,自慰行為でもエンターテイメントとして面白いものを供してほしい。
エピローグの悪ノリはふつうに寒かった。勘弁してくれ。
たと

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