CMしか撮ったことのない人がデビュー作でベネチアの金獅子賞を受賞した作品だったんですね…
12年ぶりに息子達の元に帰ってきた父親。翌日には一緒に旅へ出ようと提案。従順な兄と反抗的な弟、そして父親は独裁的。3人が過ごした1週間が描かれる。
映像美とカメラワークは秀逸。そして主人公達の感情を表現してるかのような天候の急激な変化。少年二人の演技も凄すぎた…しかし、兄役の俳優さんが撮影後に溺死してベネチアの授賞式の場にいなかった映像を観てかなり凹みました…
この作品は宗教を扱ってるという見方をされる方も多いと思います。確かに、父親をキリストとして取り上げてるような描写で、父親が寝ている姿はまさにマンテーニャの「死せるキリスト」を彷彿とさせるものだし。
ただ、私自身の見方としては、父親=ソ連、子供達=ロシアという図式かなぁと。と言うのも、この作品が上映された2003年の12年前にソ連が崩壊したからであって、父親を知らないで育った子供達(ロシア)が12年ぶりに父親(ソ連)に会い、独裁的な父親と接して大人へと成長していく姿が描かれてるような気がして…まさに「温故知新」。ソ連時代の全てが悪いのではなく、マシなものもあるんだよという感じで…
監督の最新作「裁かれるは善人のみ」を先に見ましたけど、こちらも鑑賞して良かったと思いました。