イワオサーン！
アイリーン‼︎
42歳独身の冴えない男宍戸岩男。家出した彼は突然フィリピン女性アイリーンをお金で買い、結婚して田舎に帰ってきた。父の葬式の目下の帰宅。怒り狂った母は岩男が連れてきたアイリーンに対し猟銃を向ける。
ヒメアノ〜ルで一皮むけた吉田監督。今作は監督作の中ではぶっちぎりで好きです。
田舎の閉塞感、フィリピン人女性の売春社会とそれによる日本人の偏見や差別、親の介護など、一見破茶滅茶な話だけど現代の社会問題が色濃く出てる。
アイリーンは、自身が売春ということに気づいてない。家族を養うための出稼ぎという純真無垢な気持ちで岩男の元にきている。体の関係だって本当に好きな人にしか持とうとしない。反面岩男は最初彼女の体しか興味がない。恋愛経験はないのに、常に脳は性欲の塊である。そんな歪な2人の関係が可笑しいのだが、彼らは徐々に親密になり、やがて本気の恋をする。彼らは幸せになる事が出来るのか。
いやぁ、場末感漂う街のロマンスって、佐藤泰志原作の映画（そこのみにて光り輝く、オーバーフェンス等）を思い出しますなぁ。
しかし後半、事態は一変し、2人のロマンス物語から母と子、嫁姑映画となる。終盤は泣いちまいました。この結末は読めんかった。ヒメアノ〜ルでも思ったけどラストの回想カットイン演出はずるい。観終わった後は、なんだかんだで登場人物たちが愛おしく感じる。
ヤスケンは素晴らしいです。もう最高。演技上手い下手云々ではなくて、存在感が凄い。木野花さんも、こんな激しい演技見たことない。鬼気迫ってて良かった。あと、伊勢谷友介ですよ。時々こういう日本ノワール映画でチンピラ役で観るような気がする。いい味だすよなぁ。
