やま

愛しのアイリーンのやまのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
4.0
アイリーンが、ひたすら可愛く健気なのに、周りの人間が揃いも揃ってクソヤロー。しかし、あのお見合いという形式で結婚した他のフィリピーナがどうなったのかは想像に難くない。
そもそも、日本のお見合いだってそういう要素が無かったかと言えばそうとは言い切れないのである。
アイリーンがあのクソ田舎に来てくれたおかげで、見て見ぬ振りをしてきた日本特有の暗くてねっとりとした文化や人間性を、笑いを交えて浮き彫りになる。
いや、笑えなくなってくる。

しかし、だ。
観劇中、ヤスケン扮する岩尾にも幾度も怒りを覚えたはずなのに、あの村も、大嫌いだったはずなのに。

映画を観終わった後に溢れてくる愛はなんだろう。あの、クソヤローたちみんなが愛おしく感じるのは何故だろう。
愛を語った映画は山のように存在しているが、こんなにもの愛を自分の中に見つけた数少ない映画だった。
一見熱量と勢いで作られていそうだが、極めて計算された、丁寧に感情を誘導してくれる映像でもあった。

凄いもんみたなぁ
やま

やま