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パンク侍、斬られて候の肉のレビュー・感想・評価

パンク侍、斬られて候(2018年製作の映画)
5.0
エンディングのアナーキーインザUKを聴きながら、私はちょっと泣いた。

とうとう理解してくれる仲間も見つけられず、一人隠れるように夢想していた世界と、そんなこと考えたこともないですよ、という顔で暮らしてきた現実の世界が十数年越しに繋がったのだから。

おばさんになるまでのうのうと生きてきた甲斐があった。今まで心の中でしか名前を呼んだことのない、我が愛しの町田康の原作を、あの綾野剛や北川景子、そしてそしてトヨエツ様が演じて、こんな田舎の劇場でまで上映されるくらいの規模で映画化され……しかも!原作の世界感が損なわれることなく!堂々と!成立している!

私は今!それを!見ている!

ピストルズが流れる中、鳥肌が立ち、涙で腹ふり人形が滲んだけど、この映画見て泣いてるおばさんってめちゃくちゃヤバい人に思われそうだから、2曲目の感覚ピエロで頑張って理性を取り戻し、何くわぬ顔で、大きなノビをひとつして、映画館を出て5歩くらいいったところで徐に踵を返し、パンフ買いにフロントに走った。
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