スクラ

カツベン!のスクラのレビュー・感想・評価

カツベン!(2019年製作の映画)
4.0
<無声映画を鮮やかに彩るは活動弁士、その活躍とくとご覧あれ>

活動弁士?略してカツベン?初めて聞いた、というのが予告編を観た最初の感想。
その職業内容を聞いてみると、春先にはまってドラマ・アニメ・マンガと3メディアを制覇した 『昭和元禄落語心中』のテーマである落語の真髄、語りで人を楽しませるというところに 親和性を感じて一気に興味が湧き、試写会に応募したところご縁があり、一足お先に鑑賞してきました。

幼き頃から活動弁士を夢見ていたのに現実は詐欺の片棒を担ぐことになってしまった男性と 女優になることを夢見、その実現のために犠牲を払った女性の少年少女時代から縺れた縁を笑いと義理と涙で解きほぐしていくストーリーです。

本来はスクリーンの横に存在する弁士を私たちはスクリーン越しに観るところがなんだかユニークですよね。
しかし、スクリーン越しであれど、弁士たちの豊かな語り口調によって、
あたかもスクリーンから飛び出して、その語りを聞いているかのような臨場感が得られました。

タンスと床が良い仕事してくれるおかげで思いっきり笑いました。
どちらもちゃんと伏線の役割も果たしていて、笑いも取れて伏線もはれるとは無機物ながら優秀!
それに負けず劣らず竹中直人さんが良い味出して笑わせてきます。声優もできて、俳優もできる役者さんって本当にすごいなー。

語りを仕事にする人たちを題材にするだけあって、作中のちょっとしたセリフも観客の心をさらっていきます。

私のお気に入りは
「そんときはまた助けてくれるやろ?」と
「ほんま刺してやりたいわ」です。
どこに出てくるかぜひ探してくださいね!

二人のラストの関係性を明記するのはちょっとネタバレかもしれないので、下げて記載します。



















夢追う男女のラブストーリーは、誰もが思うハッピーエンドには終わってくれないところは『ラ・ラ・ランド』を彷彿させるも、「人生にも第2部があっていい」と作中で語られるように、彼らのストーリーには素敵な第2部があるのだろうなと、第1部の終わりと第2部の始まりを観た感触です。
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