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来るのonotoramanのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
4.5
すさまじい。ひたすらすさまじい。お化け屋敷だと思って入ったのにジェットコースターだったっていう映画。

自分はホラー映画が死ぬほど嫌いだけど、中島監督が死ぬほど好きだから、多分人生で始めてホラーを映画館で見た。小学生のときのリングがトラウマになって以来、まさかこんな日がくるなんて。
でも少し甘えがあった。だってあのカラフルでポップでサイケな中島哲也のことだから、蛍光ピンクが似合いそうなお化けが出てくるんだろうなって。ホラーシーンだってサイケトランスがバックに流れるmad動画みたいな仕上がりだろうなって。
そしたら、もう、普通にホラーで。扉の向こうでドンドンやられたり、やたら電話かかってきたりするあのイッツジャパニーズホラーで。帰りたい。
でも、なんでかしら、ホラー特有の湿っぽさが全然ない。ホラーの文法で進んでいくんだけどスーパー良いテンポと映像美、それからお茶目で生々しい人間描写、そんなのが目の前を駆け巡っていってゾッとしてる暇がない。ホラーって怖いもの見たさって言うか、水風呂に恐る恐る足を入れていく感じがあると思うんだけど、これは激流のシャワーでうんサッパリ最高だぜ!ってな感じ。

あとこれ、シャイニング。オマージュを思わせるシーンがいくつかあったし。中島哲也は和製キューブリックだと思ってたけど、こんなシャイニングっぽい映画つくるなんて。レディプレイヤーワンもそうだけど、みんなシャイニング好きなんだなあ。次は和製時計仕掛けのオレンジでお願いします!

名作って感じじゃないし、ヒットしてないのも正直うなずけちゃうけど、昼に見たファンタスティックビーストはもちろん、大好きで2回目を見た直前のボヘミアンラプソディーの感動もどっか行っちゃうようなすさまじい映画だった。映画の善し悪しは置いといてこのすさまじさだけは他にない。すごい映画。
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