さぴお

ほんとにあった!呪いのビデオ76のさぴおのレビュー・感想・評価

3.8
川合さん、演出昇格おめでとうございます。
本作は初の女性演出とあってかメインは「ヒトコワ」を主軸を振ったしっとりとした、けれどもモヤモヤするフランス映画のような仕上がりになってます。
(※福田さんも連名で演出)

【インディアン水車】
水槽の中にいる夥しい数の鮭。
それをよく写すと…な作品。
この素材は良かったのですが、怪異がうーん。
この鮭自体が気持ち悪くて、際立っていたので、どうしても負けてしまいましたねぇ。
実は鮭が本能で、その場所にはいないとか…もう一工夫欲しかったです。
あと、実は水槽に反射した自分の後ろに、先ほどの怪異がいるとかそんなでもよかったかもしれませんね。
反射面なので、幽霊の質感もそこまで求められないでしょうし。

【孤独死】
窓に移りこむまでは雰囲気あってよかったです。アパートのボロさが丁度いい!
ただ、カメラ振ったらいるのは蛇足かなぁ。数コマしか写らず、しかも合成感出ちゃってるのが残念。

【雪道】
撮影理由が不明すぎるのが、この映像の難点ですね。
せめて助手席の女性が撮ってないと厳しいのでは?運転しながらわざわざ頭にウェアラブルカメラでも付けていたのでしょうか。なぜに?

怪異自体は二段仕込み。
かつ質感がリアルで技術の発達を感じられて良かったです。

【さまよう】
劇を定点カメラで撮ったものですね。
役者のシュールな演技に目がいってしまいます。
表題の「さまよう」シーンが数コマかつ、暗いので分かり辛い。
結果的にラストくらいしかよう分かりません。

【温泉旅行】
白石監督作品を感じるカップルの小競り合いにニヤニヤしてしまいました。
この彼女、絶妙にうざいなぁ。
怪異自体はこの「付いてくる」感が取り憑いているようでいいですね!
歪んだ顔が若干おばさん臭いのがうーん。因縁的には若い女性ベースが良かったのでは?

【料理】
ノイズが乱れて…系。
映像だけでは保管できない「夢」の話が印象的。
怪異自体はガッツリと映っちゃってて笑っちゃいました。

【誰がために】
これはいいですね!
ラストカットが印象的。
この後味の悪さ、いいよいいよ~~!!

現代コミュニケーションとヒトコワに振ったお話。
取材を進めるごとに意外な真実が見えてきます。投稿者の姿勢に納得できたりと深かったです。
いつの間にか演出にあがった川合さんの話し方が若干うざいのはわざとなのだろうか?

投稿映像は正直、あまり高校生には見えないのだけどそれはそれ。
現代の福田さんがメンヘラちっくでよかったですね。
わりと取材シーケンスでの小競り合いが多く、白石監督っぽさを感じます。

怪異自体はリアル寄り。
これは後から加工だけでは難しいのでは?
怪異自体は大して怖くないですが、
やはりラストカットがいいですねぇ

そして中村義洋の
「誰の思惑で、誰のために、四年間も…」というナレーションが
現代の歪んだコミュニケーションを示せてましたね。


「私が消えたら、次は誰かな」
さぴお

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