ちびたアイス

あの日のオルガンのちびたアイスのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
4.5
 とても良い作品です。

 国家(政府)主導による幼児の集団疎開決定の7ヶ月も前に、戦況が悪化する中、保母さん達による「疎開保育園」を決行した史実です。
この史実は過去に3度映画化の試みがあったようですが、種々な理由から頓挫したり断念してしまったとのこと。平成最後の年にやっと映画化となり世に知ることになりました。

 子供たちの命を守る思いから、一人の保母楓先生から始まった「疎開保育園」。「疎開は出来ます!」「とにかくやるの!」楓先生の強い意志と思いが感じれます。

 疎開先で子供たちを元気にしたのも、落ち込んで引きこもりになったみっちゃん先生を癒したのもオルガンの音色だったんだね。
観終わった後、「あの日のオルガン」って良いタイトルだよねっておもいました。
 悲しみ(引きこもり気味?)から復活したみっちゃん先生を見つけた子供たちが、「あっ、みっちゃん先生だ!」って駆け寄って来た場面もほのぼの感があって良かったです。

久保つぎこさんの原作本も読みました、この中に小学生(国民学校)の子が集団疎開から帰って来た時は性格が変わっていたけど、疎開保育園から帰って来た(下の)子は、疎開に行く前のまんまだったとのこと。
当時の疎開保育園でも、保母さんたちは子供たちを文化的に守り育ていたのが感じられました。

劇中挿入歌も有名アーティストではなく、童謡ってのも良く感じましたね。
気が付くと、♪この道は〜って口ずさんでいる自分がいます。

 良い作品に出合うと何時も思うこと。 
テレビ局が制作に絡まない映画って本当に良い作品になるって思う。
ただ残念なのは上映館の少ないこと。これは配給会社と映画館の大人の事情とかあると思うけど・・・。
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