柏エシディシ

芳華-Youth-の柏エシディシのレビュー・感想・評価

芳華-Youth-(2017年製作の映画)
2.0
撮影の美しさはほんっとうに見事。
陽光に照らされた、若さのみずみずしさたるや。まぶしい限り。

ただ劇映画としては、ところどころ引っかかるというか、どうにも上手くなく。
群像劇としても、人物一人ひとりの描き方自体も弱く、感情移入するのが難しかった。

冒頭、ご丁寧にも「この2人が主人公です」と語っておきながら、その2人が、物語の主要舞台である文工団に居場所を見出せていけないプロットは、やはり厳しくないですかね。

作品全体の印象としても、文化大革命の時代にあった歌劇団という存在に関して、イデオロギー的にもはっきりしないというか、どうにも居心地が悪く感じる部分もあるように思うのだけれど……。
作り手も、そこに向き合う覚悟があるようには感じられなかったし、それを小綺麗なノスタルジック青春映画として、まとめようとしている様にしか思えず、ひとりの観客として、信頼して物語に身を任せる気にはなれなかった。

それでも、音楽や舞踏など芸術が時代や政治に翻弄された、かつての若者たちをつなげているのだ…って訳でもないしね。
この映画が語りたい事が見えてこないし、共感出来なかった。ごめんなさい。
柏エシディシ

柏エシディシ