ニューランド

穴を掘るのニューランドのレビュー・感想・評価

穴を掘る(2017年製作の映画)
3.3
✔『穴を掘る』及び(3.3p)『人に非ず』(2.9p)『能天気』(3.0p)▶️▶️ 

 仕事の上司から、ロサのレイトで新人というのかアマというのか·かなり頻繁に監督特集やってるんだってね、と言われて何ヶ月か経つが、勿論映画のプロとかマニアでもない人から、そう言われる位だから一般的にも相当なムーブメントなのかな··と気にはなってたが、朝4時起きを考えるとなかなかできないでいたが、三本で一時間半位なのへ、行ってみる。
 年代順に並べてあったので、長編·短編2本となり、最初ので、これは身内以外に有料で見せるレベルではない作家だなと分かったので、短編2本は流石にスルッと流して観てしまった。普通なら睡眠に入ってる時間のせいもあり。それでも、2本目『穴を掘る』はまずまず面白い、なかなかに力は感じられた。只、三本に共通するのは、みてくれを離れた一貫した姿勢がなく、コロコロスタイルのベースが変わる事で、別の目標に向かってるを狙っているというのならともかく、部分部分ではそれぞれに野心が見えてそれなりに凝ってるのがまずい。全体としての姿勢·理想が欠如してくる、その上でのスタイルのバラつきなら許せるが。唸らせる頑固さがない、風見鶏かな所詮。一徹さを見せかけてるのが、自信のない証だ。スコップを担いで山中に入り、タイマンで穴掘りの速度·深さや持続を競うのを、周りの同じスコップ担ぎ衆が囃しもり立て、競技·更に儀式化する。2群に分かれての舞踏=武闘武装カルト集団が、麻薬中毒的·狂走的に存在し·うねり波打ち、セピアっぽい色彩や構図も揺らぎよ呼応し、カメラと人間群とデクパージュ·タイマンが極限を目指す、夜中の人里離れた森中。一方昼間は、オフィスの背後止まった様な仕事風景、昼間には先日闘ったのが重役然で歩いてるのに気付き、(泥の着いた)片手を挙げ合う。端正·フォーマルに。また、夜には闘い儀式、深まる穴には···。一応、商業ベースでも喜ばれそう、ではある(。この作家に伸びしろは少ないが、この作家以外の後続も期待し、かなり目をつむっての高採点献上)。2つの世界の絡みもかなりイージー。
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 PFF入選らしい2014年の長編『人に非ず』。元がSDかアナログかフィルムも混じってるのか分からないが、変換不充分か画質が後2作に比べても白っちゃけてて、コマの送りもおかしい所が多いは我慢しても、ゆっくりのパンや横移動時折だけのFIX長め·心理サスペンスの3段縦の構図や正面とか横図もキッチリの序盤に多い重み主体シーン、各切り返しや(横から姿の)どんでんの気安いパン付き、全編発声限定·抽象的不穏音楽主体のムードの中の·如何にもそれらしい空きの多い図での廻りめフォロー長く、らの筆致が思いつきの感覚しかなく、終盤の、思わぬ男女主人公の互いを思い制す刃傷沙汰への激しく手持ち揺れカット群、視界担当の1人を残し語りかけながら小さくなる迄去ってくもう一人、の締めも何の説得力もない。
 増えた山羊惨殺も当たり前の小笠原の、一ホテルの従業員の夜勤担当者ら、訳あり·仲もこじれたオーナー夫婦、不穏な空気で言い寄られながらも·いい所見つけんと努力の若い女性、(本土から逃げてきた)新任で·周りを少しずつ秘かに片付けてく粛清魔·殺人鬼の正体を垣間見せ·その瞬間も鮮やか·残忍平然な若い男、事情知らぬ中·後の2人だけになっての·短い間のユートピアのささやか解放性。
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 最近作の『能天気』は、シュール絵画の様な空中の明快明確な太い番線絡まり浮遊身体を、日常風景の一部としてる社会においての、後輩とダベり旅にもゆく不器用風OLの不条理含みのすぐ周りのあり方、の世界で、カッチリしスタイルとしては面白いが、会話等細部はまるでありきたり。
 新人·アマににこういう場を与える企画は、実に貴重だと思うし、だからこそ映画にそれ程興味もない人にも知れ渡っていったのだろうが、持ち込み主なのか、こんなレベルでは、料金のお札をだしにくい。本人は、商業映画·ハリウッド異能作家を気取ってるみたいだが、出発点からして、間違ってるとは言い切らないが、相当に疑問だ。
 
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