死の向こう側を覗こうと若者たちが禁忌を犯した実験結果がもたらす話。若かりし頃のキーファー・サザーランドやケヴィン・ベーコン,ジュリア・ロバーツ等が豪華に主演を連ねる中で死後の世界や贖罪,宗教観,神の領域など現実から乖離させた世界観が不気味に描かれる。冒頭でギリシャ神話のプロメテウス像をデフォルメさせた演出はあざとく思えた。
心臓を停止させ臨死体験する生半可な医大生の連中や過去にある重大な過ちを犯した主人公が罪をどう償うか…脚本は長尺を取り平らでのっぺりしてるが今では主役級の俳優勢が軒を連ねサスペンスに打ち込む競演は貴重。ただほぼ何も出来事は起きない。
本作を観て感じた事はやはり扱う題材(死後の世界)に対して問題の間口(あるいは敵)が弱すぎる印象を受けた。要は大人数人が寄せ集まってガキに翻弄される様は否応にも滑稽である。死者が出ない設定も題材に沿わず作風なりの表現で示せば"天罰"を描写すべきだった。神の領分に足を踏み入れたわけだし。年末にエレン・ペイジ主演で本作のリメイク版が控えていてサザーランドも別役で出演という事で現代的にシナリオが再解釈される事を期待しよう。
