KATO

ラスト・ムービースターのKATOのレビュー・感想・評価

ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)
4.0
人間は、いつ独りになるのかわからない。

独りで生き続けることは不幸なことなのか、私にはわからない。
まだまだ全然、私は一人で生きていくことに関してはひよっこだからだ。

過去の映画スターが、素人たちが作った映画賞を受賞するために故郷に帰る。そこで、自分のこれまでの人生を振り返っていくという、よくありそうなロードムービーだ。

主演のバート・レイノルズの円熟具合が素晴らしい。彼がスクリーンにいるだけで、周りにいる若い役者たちの味が出ていると思う。

スターだって、当たり前に人間だ。もちろん、私たちよりも煌びやかな生活なんだろうけれど、誰にだって過去がある。子ども時代がある。
懐かしくて、帰りたくなる場所がある。
分かり切っていることなのに、私たちはそのことを忘れがちだ。

独りで生きていこうと、そう考えたとき、作中のスターは何を諦めたのだろう。なんでも手に入る人、そう思われている人間は、人知れずどんなときに涙を流すのだろう。

過ぎ去ってしまった時間は戻せない。そして、それを受け入れることはどんな人間だって難しい。

受け入れても、受け入れなくてもいい。前向きになれなくても、何かを諦めることだってあっていい。

バート・レイノルズが震える足で演じ続ける姿を見て、そんなことを思った。
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