Ryohei

ラスト・ムービースターのRyoheiのレビュー・感想・評価

ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)
4.2
《人生のあらすじは、途中で変えられる》

かつてハリウッドを一世風靡したムービースターのヴィックも、今や一人で寂しく暮らす老後を迎えていた。
そんなある日、とある映画祭から功労賞受賞との招待状が届く。
歴代受賞者はイーストウッドやジャックニコルソン、デニーロと聞き、映画祭へ参加する。
しかし行ってみると映画祭と言うには程遠い催しであった。
VIPとは言い難い扱いに憤慨したヴィックは映画祭を抜け出す。抜け出した先は彼が生まれ育った街だと知る。そんな故郷の思い出の地を巡りながら自分の人生を振り返り、とある行動を決心する…


かなり良かったです👏🏻👏🏻
主人公ヴィックはバート・レイノルズという実在したハリウッドスターをモデルとしており、
本作でもバート・レイノルズ本人がヴィックを演じています。
バート・レイノルズの作品は見ておらず
詳しく知っていたわけではないのですが、
昨年公開したタランティーノ作である
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではディカプリオ演じる落ち目のハリウッドスター、リック・ダルトンはまさにこのバート・レイノルズがモデルとされています。
タランティーノの構想では、カメオ的な演出でこの『ワンハリ』にもバート・レイノルズを出演させる構想があったようですが、
(なんともタランティーノらしい粋なカメオ演出)
『ワンハリ』の撮影直前に82歳にして急逝されました。
言い換えれば、本作がバート・レイノルズにとっての遺作となったわけですが、遺作として自分の人生を振り返るような作品であったことは彼にとってもいい映画人生の終わり方だったのではないでしょうか。

『ワンハリ』のダルトン同様、晩年はなかなかヒット作に恵まれず、栄光と挫折の苦悩が伺えます。
本作の劇中では映画の出演選択ミスと後悔について触れられていましたが、
実際にもジェームズボンドやハン・ソロはたまた『ゴッドファーザー』でアル・パチーノが演じたマイケル役などのオファーがあったそうです。
後になって考えるともの凄いオファーすぎますね…

本作では、バートが過去に出演した各映画とのクロスオーバーとも見れるファンにとってはアツいであろうシーンもいくつかあり、他の出演作品も見てみたくなりました。

主人公ヴィック(バート自身も)はプライドが高く、非常に気難しい性格なため、運転手を務めることとなったリルと次第に心が打ち解け互いに影響し合う関係性はどこか、
『セントオブウーマン』のフランクとチャーリーにも共通する部分を感じました。

クスッと笑える描写も各所に散りばめられていながら、物語としてしっかりと心に響く内容だったので一見の価値はあるかと思います!
Ryohei

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