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ヘレディタリー/継承のucandoitのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
4.0
2018年 アリ・アスター 脚本監督

ホラーです。
何より娘チャーリーを演じるミリー・シャピロの顔そのものが(言ってはいけないかもですが)ホラー。
元々壊れている母親のアニー(トニ・コレット)がどんどん壊れていく。それが夫のスティーブ(ガブリエル・バーン、「ユージュアル・サスペクツ」)と兄のピーター(アレックス・ウルフ:「ジュマンジ」)を巻き込んでいきます。

難解です。
題名通り遺伝性の精神疾患が引き起こした妄想殺人かと思っていましたが、悪魔教の「継承」と言う「ローズマリー」的な展開でした。
一周回って、やはりサイコ一家の自滅かとも思いましたが。
本が練り込まれていてかなりしっかり観ないとアリ・スターの本当の意図には辿り着けないかも。
現世的には家族の崩壊もテーマのようです。

例によってトニの個性が光る映画でもあります。



ネタバレ備忘録
変人で精神に問題のある祖母エレンの死。
ジオラマ作家の母トニは夢遊病。
彼女を中心に物語が展開するが、ここが見る側をうんと混乱させる仕掛け。
彼女の精巧なジオラマがそのまま実写と重なるオープニングは印象的かつ、示唆的。
娘のチャーリーは鳩の首を切り落とし持ち歩く不気味な少女で孤独を愛する。
アニーの兄も統合失調で自殺、かなりヤバい家系です。

兄のピーターはチャラい高校生。
ナッツアレルギーの妹を病院に運ぶ途中事故を起こし妹は電柱に頭をもぎ取られる。
パニック状態なのか、そのまま振り返りもせず家に戻りベッドに入るピーター。しかし、まんじりともせず朝を迎え首のない娘の死体を発見した母の動物の様な叫び声を聞く。

オブリスクの様な電柱、転がる頭にたかる無数の蟻。今晩の夢にに出てきそうなシーンです。
ここから家族の転落が始まります。

ジョーアンと言う女性が登場。
アニーが通うカウンセリング・サークルで偶然会う設定だが、どうやらアニーは誘導されているらしい。やがてアニーはジョーアンが死者を呼び出すところを見せられ、自分でもチャーリーを呼び出したくなる。
ここから話は悪魔ペイモンの継承の話になります。祖母のエミーからチャーリーを経由してピーターに。
ペイモンの絵に描かれた三つの生首。
儀式にはこれが要るようだ。
鳩の首を持ち歩いていたチャーリー自身の首。そして墓から掘り起こされた祖母エミーの首。そしてピーターを追いかけて回した後自分で切断したアニーの首(ゾンビのように追いかけ回すアニーは怖いです)。
家系に関係の無いスティーブは炎に包まれて焼死します。
そしてツリーハウスでの戴冠式で一族の目の前でチャーリー経由でペイモンが取り付いた(舌鼓がその印)ピーターが後継者になりました。
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